SOLA TODAY Vol.793
国政を担う政治家の支持率は、その国の経済が活発だと落ちることはない。失業者が少なく、好景気が維持されていると国民の不満が出にくい。
だけど経済は生き物だから、ちょっとしたことがきっかけで失速する。その結果、支持率が下落した政治家はどうするか?
もっとも効果的なのは、国の強さを示すことらしい。周辺国との緊張を増すことで、強い政治家が必要だと思わせる必要がある。
先日ある記事を読んだが、ロシアがそんな状況らしい。プーチン大統領は若い世代を中心に支持率が下がっていて、今のままではマズいと考えているとのこと。だから小さな戦争を起こし、支持率を上げる可能性があるという記事だった。
理屈としては理解できるけれど、今のような時代にそんなことをするだろうか? そう感じたボクの感想は、少し見通しが甘かったかもしれない。
クリミアをロシアの領土とされたことで、以前からロシアとウクライナの緊張関係は続いている。たしかに戦争の火種としては、見過ごすことのできない地域だろう。そのウクライナの大統領が、今月の27日にロシアとの全面戦争の脅威を警告している。
「これがお遊びだとは誰にも思ってもらいたくない。ウクライナはロシアとの全面戦争の脅威にさらされている」と国営テレビのインタビューで述べたらしい。
きっかけはクリミア半島でウクライナの船が拿捕されたこと。乗組員24人が拘束されたことで、新たな外交危機が発生している。ウクライナの大統領によると、両国の国境付近のロシア軍が劇的に増加しているとのこと。それゆえ全面戦争について警告している。
このニュースを知って、プーチン大統領が『小さな戦争』起こすかもしれないという記事が、一気に現実的なものと感じられるようになった。大国のロシアにとっては『小さな戦争』かもしれないけれど、ウクライナにとっては国家の存亡に関わる。
現在の地球において、第一次や第二次世界大戦のような規模の戦争が起きることは考えにくい。殺戮兵器が強大かつ高度化しているので、世界を巻き込んだ全面戦争に至る可能性は少ない。なぜなら人類が滅亡してしまうから。
だけど地域を限定した戦争は、いつ起きても不思議じゃない。支持率の低下に焦るプーチン大統領が、ウクライナに対して攻撃を仕掛ける可能性は否定できないと思う。戦争に理由なんていらない。大義名分を捏造するのが、戦争という行為の本質だろう。
もしアメリカを巻き込んだら、NATO諸国も黙っていない。その一方で中国は、ロシアを援護するはず。世界を揺るがすような出来事にならなければいいのに、と真剣に思ってしまう不安な記事だった。
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