二者択一の恐ろしさ
我が家には物を買うときの原則がある。
それは、『迷ったときは買わない』というもの。これは靴のような普段使いの物から、マンションのような不動産でも同じ。
究極的には、買うか買わないかの二者択一でしかない。だけど決断を下すには、様々なことを考慮に入れる。それで迷うのは、どうしても気にかかることがあるということ。それが値段なのか品質なのかはわからないときでも、迷うときには『何か』がある。だからやめたほうがいい。
でも正反対の行動を取る場合もある。それは人生における何かの決断に迫られたとき。これも究極的には行くか止まるかの二者択一。ボクの場合、こういうパターンで感じる迷いは、あえて突き進むためのサインだととらえている。
だから迷うときは、あえてゴーサインを出す。なぜならその迷いは、変化に対する恐れの場合が多いから。思い切って正面突破することで、新しい世界が開くというのを何度も経験しているからだろう。
でもその二者択一が自分の命に関わるだけでなく、人類全ての運命を担っていたらどうするべきだろう? そのとき感じる『迷い』にどんな答えを出すべきなのか? そんなことを考えさせられる映画を観た。
『サンシャイン2057』という2007年のイギリス映画。なかなか豪華なキャストで、演技派の俳優さんを集めている。そのなかには、日本の真田広之さんも宇宙船のキャプテン役で出演している。英語がうまいのに感心してしまった。
西暦2057年、地球は滅亡の危機を迎えていた。太陽の活動が終息しつつあったから。唯一残された手段は、地球上の核兵器を集結させた規模の核爆弾を太陽に打ち込むこと。その使命を受けて7年前にイカロス1号が旅立ったが、失敗して行方不明になっている。
最後の望みをかけてイカロス2号が太陽へ向かった。順調に旅を続けていたが、ある時に救難信号を受信する。それは遭難したイカルス1号からのものだった。そこで乗組員は二者択一を迫られる。
イカルス1号を救助するか、そのまま太陽へ向かうか?
最終的な決断は、核兵器に詳しい物理学者のキャパに委ねられる。キャパはイカルス2号の核兵器だけでは、人類を救えるか不安に思っていた。もしイカルス1号の核兵器が使用できたら、成功確率が2倍になる。反対する乗組員を押し切って、イカルス1号と合流することを選択する。
それが不幸の始まりだった。
思わぬミスから傷が広がり、次々と乗員が命を落とす。さらにイカルス1号でただ一人生存していたキャプテンは、悪魔のような怪物と化して乗員の命を狙う。SF映画が、途中からホラーのような雰囲気になってきた。
最終的に一人生き残ったキャパが、太陽で核兵器を爆発させて地球を救うという物語。自分が決断した二者択一の責任を取ろうとしたのだろう。なかなかよくできた映画で、特撮はかなりレベルが高い。十分に見応えのある作品だった。
惜しいのは、キャパの人間像があいまいだったこと。地球に残る家族のメッセージを送っているシーンがあるけれど、彼の人間的なバックグラウンドが描かれていない。例えば彼が過去に自分の決断によってトラウマを抱えているというような設定だったら、もっと感情移入できたんだけれどな。
人間ドラマとしての部分で、ちょっと物足りなさを感じた作品だった。でも久しぶりに真田広之さんを見られて、ちょっと嬉しかったなぁ。
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