どうなるペロシ議長の台湾訪問
台湾情勢がかなり緊迫している。アメリカのペロシ下院議長がアジア訪問の旅に出ていて、昨日シンガポールに到着した。日本や韓国にも訪問する予定だけれど、注目されているのが台湾の訪問。
意向を表明しただけで、必ずペロシさんが台湾を訪問すると決まったわけじゃない。さまざまなメディアがこの問題を取り上げていて、アメリカと中国が危険な状況であると伝えている。いくつか関連記事に目を通したが、もっともわかりやすかったのが日経の記事だった。
いまさら説明するまでもないけれど、台湾を主権国家だと認識している国とそうでない国に分かれている。当然ながら中国は台湾を自国の領土だと言い続けている。だから中国に忖度している国は、台湾との国交を結んでいない。
台湾を主権国家として国交を結んでいるのは、アメリカや日本を含めたいわゆる西側諸国。それだけにペロシさんの台湾訪問は、中国政府をかなりイラつかせている。なぜ中国はそこまでペロシ下院議長にピリピリしているのか。
リンク先の記事によると、ペロシさんは対中強硬派で知られている。ウイグルやチベットの人権問題で中国を非難してきた。でもそれだけじゃない。下院議長というのは、大統領の継承順位として副大統領に続く地位。それもペロシさんは与党なので、中国にすれば現在のアメリカ政府そのものだと捉えているのだろう。
先日に行われた米中首脳の電話会談でも、習近平は台湾情勢に関して、「火遊びをすれば、必ず身を焦がす」とバイデン大統領に警告した。昨日の中国の外務省の会見でも、「もし台湾を訪問すれば中国は必ず強力な対抗措置をとる。軍も決して黙って見ていない」と述べている。
最悪の場合、ペロシさんが台湾を訪問することで軍事衝突が起きる可能性もあるということ。すでに彼女はアジア入りしているので、近日中に答えは出るだろう。中国の牽制によって台湾訪問を取りやめたなら、アメリカ政府が中国に対して弱腰であることを見せてしまう。かといって、わざわ挑発するのもどうかという意見もある。
リンク先の記事には、なぜここまでアメリカが台湾にこだわるか解説されていた。
台湾という国は、中国の圧力に抵抗して踏みとどまる民主主義の象徴となっている。それゆえ台湾が中国に併合されてしまうと、東南アジアや南太平洋に中国は影響を広げていくことになる。さらに中国と台湾が軍事衝突すれば、当然ながら日本を含めた東アジアに戦火が広がってしまう。
そのうえ台湾は、世界の半導体生産において世界の半分以上の割合を占めているそう。だからアメリカとしては台湾を見捨てることはできない。その先方に立っているのがペロシ下院議長だということ。
今年の秋に習近平が国家主席として再選されたなら、任期は2027年になるとのこと。だからそれまでに悲願である台湾併合を成し遂げたいと考えているのでは、というのがアメリカ軍部の見方らしい。それは十分に考えられる。そして現実問題として、中国は台湾海峡に向けて着実に軍備を増強している。
さてペロシ下院議長はどうするのだろう? おそらく世界中が注目しているはず。中国の警告が単なる脅しでなければ、世界を巻き込む大事件になる可能性もある。ここ数日は、台湾周辺の動きに注目したいと思う。
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