取材動画が映画になる超有名人
オペラについてまったく知識のないボクでさえ、名前だけは知っている歌手がいる。
マリア・カラスという女性で、20世紀最高のソプラノ歌手と言われた人。1977年に53歳という若さで亡くなっているが、そんな彼女の名前がタイトルになっている映画が目についた。誰が主演しているのだろうと思って確認すると、クレジットの最初はマリア・カラスと記されている。
どうやらドキュメント映画らしく、気になったので観ることにした。
2022年 映画#176
『私は、マリア・カラス』(原題:Maria by Callas)という2017年のフランスのドキュメント映画。とにかく名前しか知らない人。それで写真を見てこんな美人だと知って驚いた。次に出てきた疑問は、ギリシャ系のアメリカ人なのに、なぜフランス映画なのかということ。
その答えは映画を観てわかった。マリアの全盛時代は10年ほどで、それからは喉の不調等の健康問題を抱えていた。声が出ないことで、ソールドアウトになっていたコンサートをドタキャンしたこともある。そうしたスキャンダルの末、彼女が晩年に暮らしたのがフランスだった。それでフランス映画として公開されたということらしい。
とにかくすごいのは、取材動画だけで2時間になる映画として構成されていること。かなり多くのライブ映像、インタビュー等が残されてきたからだろう。それほど世界中が注目している歌手だったということ。1977年に亡くなっている人で、ここまで内容豊かな映像が編集できる人はそういないだろうと思う。
マリアは英語はもちろん、フランス語も堪能だった。今年になってちょっとだけフランス語を勉強しているので、単語のいくつかは聞き取ることができた。でもそんな語学よりも、彼女の歌唱力に圧倒された。いやいや、本当にすごい。
オペラは見たことがないし、まったく詳しくない。それでも心が震えるほどの歌声だった。ただ私生活は何かと大変で、恋愛がらみでは絶望に落とされるような辛い経験をされていた。この出来事に関しても、率直に自分の感想を述べているのが印象的だった。
ドキュメントなので起承転結的なまとまりはない。だけど2時間があっという間に感じるほどに惹きつけられた。公式記録で残されている最後のコンサートは、なんと日本公演だった。
1977年にステージ復帰を目指して練習を続けているころ、突然の心臓発作で他界されている。ドキュメントでは語られていないけれど、調べてみると他殺説もあった謎の死らしい。そこまで考えると、彼女の人生そのものがドラマ的だと感じる。映画になっても不思議じゃない。
そう思っていたら、なんと今年の10月にマリア・カラスの人生が映画化されることが発表されていた。主演するのはアンジェリーナ・ジョリーとのこと。なるほど、そういえば雰囲気が似ているかも。このドキュメントを見たから、映画がどんな作品になるのか気になるなぁ。
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