児童文学の難しさを感じる
昨日の大雨もあがり、曇り空だけれど今日は気持ちのいい1日だった。花曇りという雰囲気で、神戸の桜は<満開に向けて絶賛開花中>という雰囲気。今週と来週の週末はお花見には持っていこいかも。あとは天気次第だね。
さて、児童文学を映画化した作品だけれど、とても面白かったので続編を観た。とにかく腹を抱えて笑う。なのにボクはどうしても引っかかることがある。今回の続編も同じことを感じてしまった。
2024年 映画#62
『パディントン2』(原題:Paddington 2)という2017年のイギリス・フランス合作映画。ボクの大好きなイギリス俳優たちが活躍する作品。前回の悪役はニコール・キッドマンだった。今回の続編はイギリスの名優であるヒュー・グラント。
シリアスな役もいいけれど、コミカルな役をやらせたら彼の右に出る人はいない。この作品でも思い切り笑わせてもらった。『ラブ・アクチュアリー』の時のような怪しいダンスもエンドロールで見せてもらえて最高だった。
ストーリーはシンプル。叔母さんの誕生日にこの世界にたった一つしかない「飛び出す絵本」をプレゼントしたいパディントン。でも高額なのでお金を貯めるために働いていた。ところがその噂を聞きつけた落目俳優のブキャナンがこの絵本を盗む。ブキャナンを演じているのがヒュー・グラント。
その現場に居合わせたパディントンは泥棒の疑いをかけられて刑務所に入れられてしまう。それが先ほどの写真。最終的には冤罪が晴らされ、事件は解決するという物語。そしてパディントンは叔母に最高のプレゼントができたというエンディング。
子供向けの児童作品としてはよくできている。ただボクは前回にも思ったけれど、これはヨーロッパにおける移民問題がメタファーとして描かれている気がしてならない。パディントンというクマは外国からの移民というイメージ。
前回でもクマゆえに差別を受けた。そしてクマだというだけで非難する人もいた。今回もクマゆえに犯罪者として疑われたと言ってもいい。この展開から、移民を犯罪者予備軍としてイギリスの警察が見ているのではと感じてしまう。だから映画の趣旨としては、「そんな偏見はダメだよ」と子供に伝えていることになる。
確かにそれは正論。多様性を理解することで、移民(クマ)を受け入れることになればいい。それは理想なんだけれど、現実問題はそれほど簡単じゃない。実際は移民の人たちによる犯罪が問題となっている。
寛容な心で外国人を受け入れることが大切だとわかっていても、自分の恋人や娘がレイプされても平気でいられるだろうか? これは極論ではなく実際に起きていること。もちろん移民たちへの不当な差別も起きている。
子供がこの映画を見ている限りにおいては、あくまでも「クマ」の物語として終わるかもしれない。でも頭のいい子供なら、移民についても同じことを感じるかもしれない。そんな時、大人はどう説明する? この物語の姿勢は正論だけれど、無条件に外国人を受け入れることが正しいと言い切れる?
世知辛いかもしれないけれど、パディントンのような「いいクマ」だけでなく、「悪いクマ」がいることも子供に教えていいと思った。この作品の悪役は常にイギリスの人間。他国からやってきた人間が悪役にはなっていない。子供のことを考えると、どうしてもこの部分が気になってしまう。児童文学って難しいよなぁ。
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