石見銀山を愛憎した女性の物語
今週中に片付けたいことがいくつかあって、昼間はその作業に集中している。来週になったら少しホッとできるかな。今週の用事の締めは、土曜日に予定しているミューナの通院。キャリーバッグを新調したので、その使い勝手を検証できるのが少し楽しみ。
以前のキャリーバッグは、トンネルのようになっていて、ミューナを引っ張り出す必要があった。これが意外に大変。診察室に入ると、キャリーバッグから出るのを全力で抵抗する。いつも主治医の先生に手伝ってもらっていた(汗)
でも新しいキャリーバッグは、上部の蓋で開閉するものにした。これなら獣医さんの手を借りなくても、ボク一人でミューナを取り出せると思う。そう思うだけでもちょっと気が楽かな。どちらにしても、あの爺さまを家の外に連れ出すのは大変なんだけれどね。
さて、激しいドラマはないけれど、心に強く残る小説を読んだ。さすが直木賞受賞作だと思う。
2024年 読書#34
『しろがねの葉』千早茜 著という小説。予備知識なしで読み始めて、時代小説だと気がついた。それもボクの大好物である戦国時代の物語。といっても歴史上の人物はほぼ登場しない。けれど時代背景を捉えた著者の見事な描写によって、この時代特有の匂いを感じる作品だった。
主人公はウメという少女。ある村に暮らしていたが、極貧の生活で父が犯罪を犯したことで逃亡。その途中で両親とはぐれて行き倒れ寸前だった。ウメを救ったのは喜兵衛という山師。石見銀山で配下の人間を率いて銀を掘っている男だった。銀の鉱脈を見つける能力があって、誰からも信奉されている。
喜兵衛の元で育ったウメ。やがて自分も喜兵衛のように鉱山で働きたいと願う。ウメは夜目が効くという能力を持っていて、間歩と呼ばれる鉱山内部に入っても自由に歩ける。さらに観察眼も優れていて、喜兵衛が知識として隠し持っている鉱脈のありかを全て記憶していた。
時代は関ヶ原の合戦の直前。そしてすぐに戦が起きて東軍が勝利する。それまでは喜兵衛たち山師が銀山を仕切っていた。ところが家康の時代になって、江戸幕府に銀山が接収される。そこでやってきたのが有名な大久保長安という武将。そのせいで、喜兵衛のような人間は自由に働けなくなった。
長安は石見銀山を始め、佐渡の金山の採掘にも関わった人物。ところが金や銀を横領していて、彼の死後に一族は処刑された。それがきっかけで大阪の陣が勃発している。この小説で登場する有名な歴史上の人物は長安だけ。彼の死後の石見銀山についても物語では詳しく語られていた。
ウメにとって喜兵衛は父以上の存在。でも喜兵衛は命を落とし、隼人という石工と結婚する。そして鉱山病で隼人が死ぬと、龍という男性と再婚する。でもその龍も鉱山病で死んでしまう。そんな石見銀山での暮らしを、3人の男性と生きてきたウメの生き様が描かれた素晴らしい物語だった。
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