SOLA TODAY Vol.278
先日、囲碁世界ランキング1位の中国の柯潔さんが、グーグルの開発したAlphaGoと3回の対局をして3連敗した。3敗目が確定したとき彼は涙を流し、対局中にまったく勝てる気がしなかった、と述べている。
これでAlphaGoは人間との対局を終えるらしい。その実力を十分に見せつけたからだろう。
AIの本来の目的は囲碁に勝つことではなく、人間の生活や企業の経営に利するためのはず。とりあえずはゲームを通じて開発されたにすぎない。そんな本来の目的が、いよいよ具現化されつつある。
ソフトバンク、新卒採用に「IBM Watson」活用 エントリーシート確認時間を75%削減
昨日の29日、ソフトバンクは新卒採用選考のエントリーシートを評価する際に、人工知能「IBM Watson」日本語版を活用すると発表した。この記事のタイトルにもあるように、人事担当者がエントリーシートの確認作業に割く時間が、75%も削減できるらしい。
過去のデータを読み込ませることで、合格基準を満たす評価が提示された項目については選考通過とし、それ以外の項目については人事担当者が内容を確認し、合否の最終判断を行う。
75%も時間が削減できるのは、まさにAIの真骨頂だろう。でも効果はそれだけじゃなく、公平な採用ということにも大きく寄与するはず。
なぜなら人間は感情で構成されている動物だから、どうしても好き嫌いがある。客観的な視点を維持しているつもりでも、知らず知らずに主観的要素が混じってしまう。これまで採用担当者の個人的な感覚で、選考に落ちた人は少なからずいるはず。
いよいよ来たね。これはまだほんの手始めだと思う。
会社組織の事務的な仕事が、こうしてAIにとって代わるのは時間の問題。採用だけでなく、退職までを含めて社員管理のすべてをAIが担当する時代はすぐそこに来ている。
よっぽど特殊な仕事でなければ、給料計算なんてAIのほうがダントツで早くできるはず。経理処理なども決まり切った会計基準が存在するのだから、AIに任せるほうが確実でスピーディー。
経営者は財務諸表を読み解く知識があればいいだけで、ボクのように簿記の資格を持っている人間が働く場はいずれ消滅するだろうね。大企業でアウトソーシングされている総務業務だって、やがてAIに任せることになるのは確実。
こうなってくると、将来的に会社組織というもの自体の存在意義が問われるようになるかもしれない。どこかの組織で安住しているという帰属意識を手放さないと、AI の導入にともなって捨てられてしまうだけ。
独立した個人がそれぞれ経営者感覚を持たないと、組織にとって必要な価値があると認められないかもね。
先日紹介したFacebookのマーク・ザッカーバーグのスピーチでも、ベーシックインカムの導入について言及されていた。これまでの社会の仕組みが、確実に変化しつつある。それがどのようなものになっていくか、期待しながら目撃していきたい。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。