SOLA TODAY Vol.282
ここ数日やたら目にする「VALU」という文字。著名人の誰それが加入した、というツイートが飛び交っている。
なんだろうと思って調べてみると、そのユニークな発想にヒットの予感がした。
株式のように自分の価値を取引できる「VALU」、購入にはビットコインを利用
「VALU」というのは、クラウドファンディングに似ている。クラウドファンディングなら、特定の事柄に対して投資を募る。新しい機械を発明したり、今までにない商売を考えたり、キングコングの西野さんのように絵本を作るためだったりする。最近ではアニメ映画もこの方法で資金を集めた全国的にヒットした。
投資した人には特典がある。イベントに参加する権利だとか、映画の場合は最後のクレジットに名前が出たりする。
「VALU」の場合は、特定のイベントに対して出資するのではない。個人に対して出資するシステムになっている。
ある人が登録すると、そのひとのSNS等で時価総額が判定される。Twitterのフォロワーが多い人などは、かなり高めの設定になる。そうして売り出し価格が決定されて、本人が売出す株数を決めて販売することができる。
そう、まさに株式会社のシステムと同じ。法人ではなく、個人の株式を上場するようなもの。もちろん取得した「VALU」は、他の人に売買できる。需要が多ければ、当然ながら「VALU」の価格も上昇する。
ちなみに昨日の時点で最高額の時価を叩き出しているのは、ホリエモンこと堀江貴文さんとのこと。なるほどねぇ。
ユニークなのは、「VALU」のやりとりは一般に流通している貨幣ではなく、ビットコイン限定になっていること。だから安く買った「VALU」が値上がりしたときに売り、その差額のビットコインを円に交換することもできる。
まさにネット時代を象徴するようなシステムだよね。その人が将来的に何をするのかわからなくても、特定の個人に価値を見出すことで出資することが可能。そして投資に見合った特典を楽しんだり、売買することで儲けることもできる。
法律的にグレーな部分があるような気はするけれど、今のところは問題ないらしい。ビットコインという国家権力が及ばない仮想通貨を利用しているので、この先ヒットすると法律的な圧力がかかるかもしれない。
だけどこれからは個人を評価する、評価型経済が主流になってくる。そういう意味では、時代に則したシステムだと思う。
もし「 VALU」のようなシステムが一般化すると、面白いことが起きる。売れている人に投資をしても、時価価値がすでに高額になっている。人によっては伸び代が少ない分、面白みがない。
だけどまだ無名の人のなかから価値を見出し、先行投資をする楽しみがある。自分が見つけた宝石の原石をバックアップすることで、将来的にとんでもない利益を手にできるかもしれない。一か八かの宝くじよりも、誰かを応援して価値を産むことに参加するほうが楽しい。
この「VALU」が本格的にヒットするかどうかはわからない。だけどこれからは、個人が評価されていく時代になるのはまちがいない。面白い時代になってきたよねぇ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。