SOLA TODAY Vol.378
ボクはパンが大好き。洋菓子も好きだけれど、パンに対する愛情は、はるかにケーキの上を行っている。最近の統計では日本でパンの消費が最も多いのが京都で、神戸はそれに次いでいる。京都で生まれ育って神戸で暮らすボクが、パンを好きなのは必然なのかもしれないね。
そんなパンは日本中で愛されていて、どの街でも自慢のパン屋さんがあるのだろう。そんななか、東京のユニークなパン屋さんが紹介されている記事を読んだ。
創業74年、たった2種類しかないパン屋はなぜ売れ続けるのか——周回遅れの経営が先頭に立った
それは東京の浅草にある「ペリカン」というパン屋さん。ボクは初めて聞いたけれど、東京の人にとっては馴染みのある名前なのだろうか?
創業して74年になるが、作っているのは食パンとロールパンの2種類だけらしい。この記事によると、『1日に食パン400〜500本、ロールパン4000個ほどを販売している。全体の3割ほどは喫茶店やレストラン、個人商店向けの卸売りだ。パン屋が忙しいとされる春と秋には、予約分だけで完売することも多い』とのこと。
戦後になってパン屋を開業したとき、同業者の競争が激しかった。それで他の店と喧嘩をしないよう、卸売を中心にする販売形態を取ったらしい。それで74年間も続いているわけだから、かなり美味しいパンなのだろう。パン好きとしては気になるところ。
現代風に言えば、レッドオーシャンを避けて、ブルーオーシャンを狙ったということだろう。そこで確固たる地位を築いてしまえば、他の業者は参入しづらくなる。そういう意味では、素晴らしい経営才覚を持たれていたのだと思う。
何かに特化して、それを極めるというのはいいよね。ボクの自宅近くにも、食パンしか販売していない有名店がある。普段は予約しないとまず購入できない。以前にフラッと立ち寄ったとき、たまたま在庫があって買うことができた。かなり嫌味を言われたけれどね。要するに予約以外は受け付けないよ、という姿勢なんだろう。
この記事のパン屋さんのような、何かに特化した経営方針を否定するつもりはない。でも個人的には、ボクはこういったパン屋さんに通うことはないだろう。先ほど書いた食パン専門店も、たしかにめちゃ美味しかった。だけど予約までして買おうとは思わない。
パンを買う楽しみのひとつに、商品を選ぶということがある。来店する時間によって焼きあがるパンの種類がちがったり、季節によって新書品が出ていたりと、そこはまるで「おとぎの国」のような世界であってほしい。そのワクワク感が好きでパン屋さんに足を運ぶんだから。
だから食パンとロールパンしかないのだったら、ボクは行かないだろうなぁ。だってパンとの一期一会を楽しみたいから。期待しているパンが売り切れて、悔しがることも楽しかったりする。その結果、新しいパンとの出会いも生まれる。
ちなみにボクが好きで通っているパン屋さんは、本当に「おとぎの国」のように楽しいパン屋さんだ。そして日々、確実に売り切れる。平日でも午後3時には閉店しているし、土日なら昼過ぎに、ほぼパンがなくなる。
それだけ多くの種類を作っていて完全に売り切ってしまうのって、パン屋さんとしては楽しいし、幸せだろうね。商売のやり方はいろいろだけれど、やはりボクはいつものパン屋さんが大好き。あぁ、めちゃパンが食べたくなってきた!
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