SOLA TODAY Vol.391
昨日のニュースで、三井住友等の大手都銀が、あることを始めるという報道があった。
それは仮想通貨のマイニング。ようやく日本の金融機関も、時代の流れを無視できなくなってきたということ。でないと世界から取り残されてしまう。
ところでマイニングって何? と思っているあなた。
聞いたことがある程度ならまだしも、まったく知らないという人はヤバいと思ったほうがいい。まちがいなく時代の流れに取り残されつつある。
マイニングというのは簡単にいうと、ビットコインの新規発行を得る手段。仮想通貨はブロックチェーンという鉄壁の暗号システムで構築されている。世界中で取引されているすべての記録が、鎖状になってつながっているイメージ。
誰か特定の人が取引記録を有しているのではなく、ビットコインに関わるすべての人のコンピュータによって取引が保管されている。そのブロックチェーンの取引記録を追記して認証する行為がマイニングと呼ばれている。
取引が増えるたびに膨大なデータ量になるので、大量のコンピュータが必要となる。とても個人でやれるものではなく、中国などは大掛かりな組織がマイニングに取り組んでいる。それを日本の金融機関でもやっていこう、ということ。
ビットコインは発行量が定められているので、2040年ころにはマイニングが終了すると見られている。そして新規発行を行うマイニングは手間がかかるので、少しずつしか付与されない。だからインフレになることもない。
そんなマイニングについて、スウェーデンの会社が面白いことを始めている。
人気サイトがアクセス数の多さを利用し閲覧者のCPUパワーで仮想通貨マイニング、広告に代わる収入源になるか?
スウェーデンのPirate Bayは、映画や音楽、ソフトウェアなどのトレントファイルやリンクを配布するポータルサイトで、月間利用者は数百万人と言われている。
そのサイトのユーザーが、特定のページを開くと自分のパソコンのCPU使用率が大幅に増えることに気づいた。不思議に思って調べてみると、そのページには仮想通貨をマイニングするためのコードが仕込まれていることがわかった。
つまりこの会社は、ユーザーのパソコンのCPUリソースを利用することで、マイニングをしてビットコインをゲットしていた。無断で行なっていたことなので、苦情が殺到したとのこと。
そこでこの会社の意図が明らかになる。サイトを運営するのに広告収入は欠かせない。ところがこのサイトは広告を掲載していない。日本のサイトで見るような、あのうざい広告が存在しない。
その代わりに利用者のパソコンを使うことで、マイニングで収入を得るというシステムを実験中だった。無断で使用していたことを謝罪するとともに、高いCPU使用率を示したページはコードの表記ミスであることを表明し、CPUの使用率は20〜30%の範囲に収まるようにするとのこと。
サイトを運営することにおいて、新しいビジネスモデルとして注目されている。自力でマイニングをするならば、大掛かりな設備投資が必要となる。だけど他人のパソコンを利用すれば、そうした問題がなくなる。
さらにサイトの利用者にしても、無駄な広告にわずらわされることがなくなる。支障のない範囲でCPUリソースを提供するのなら、たいして気にならない。たしかに面白いマネタイズ方法だと思う。
もしかしたら既存の広告システムをおびやかすものになるかも。さすがIT先進国のスウェーデンだよね。面白い時代になってきた。
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