これぞマイニングの象徴!
ブロックチェーンを含めた仮想通貨のシステムについては、3年ほど前から興味を持っていて、手当たり次第に関連本を読んでいる。もしその当時にビットコインを買っていたら、今ごろ億万長者である『億りびと』になっていたかもね〜w
負け惜しみじゃないけれど、小説のほうに集中したかったのであえて具体的な投資はしていなかった。ところが知識だけはあるつもりだったけれど、最近ではアルトコインの登場なのでどうも実態がつかみにくい。
これはある程度その世界に首を突っ込まないと理解できないと思い、遅ればせながら仮想通貨取引所を選定して登録した。まだ郵送での個人認証待ちだけれどね。あちらこちらの取引所に登録依頼が殺到していて、取り扱いが一時停止となっているところも出てきているらしい。
三井住友等のメガバンクでは口座管理費等の動きが出ているので、いざというときに動けないと困る。そこで時間のあるうちにとりあえず登録しておこうと判断した。まぁどんなことでも小説のネタになるだろうしね。
そんな仮想通貨の勉強をすると、すぐ目にすぐのがマイニングという言葉。ブロックチェーンというのはすべての取引が残された台帳のようなものなので、その内容を検証する必要がある。その暗号の仕組みは鉄壁で、絶対にデータを捏造することができない。
ただしビットコインのマイニングだと、大量の電力と大容量のコンピュータCPUが必要になる。そのマイニングという検証作業を完了させると、その都度ビットコインを与えられる。まぁ実質的に一般人には無理なので、中国の人たちが組織的に行なっている。
労力のいる作業なんだけれど、そんなマイニング作業を象徴するような映画を観た。
『黄金』(原題:The Treasure of the Sierra Madre)という1948年のアメリカ映画。写真のとおり、主演はハンフリー・ボガート。
1920年代のメキシコで、金を採掘して財産を築こうとした3人の男たちの物語。まさにリアルマイニングだよね〜!
ボギー演じるダブズは、その日の食事代さえない貧乏人。ある貧民宿にいるとき、金の採掘経験のある老人のハワードと出会う。そしてカーティンという仲間を見つけ、3人でメキシコの山奥に向かう。山賊が出没する危険な地域だけれど、3人はようやく金脈を見つける。
ところが大金が手に入るとなると、人間は財産を守ろうとする。特にダブズは被害妄想の傾向が強く、他の2人が自分の分け前の砂金を奪わないか気になって仕方ない。
そのあたりのボギーの演技はマジですごい。これほど悪役が似合う人はいないと思う。『カサブランカ』のナイスガイのイメージを忘れてしまうほど。最終的には他の2人の砂金を持ち逃げしようとして、ダブズは山賊に殺されてしまう。
ユニークだったのがラストシーン。ダブズから分け前を取り戻そうとした2人が駆けつけると、大量の砂金は、それをただの砂だと思った山賊に捨てられていた。その土地特有の季節風に吹き飛ばされ、10ヶ月の苦労が水の泡になってしまった。
そのときのハワードとカーティンの反応が最高だった。あまりに理不尽すぎる現実に直面して、もう笑うしかない。笑い転げた末に、新しい人生に向かっていこうとするシーンで終わる。とても良くできた冒険映画だった。
ボクはすぐに仮想通貨のマイニングを思い出した。大量の電力と時間を消費してマイニングしたビットコインだって、季節風に飛ばされた砂金と同じ。自分たちがその処理をあやまれば、あっという間に消えてしまう。
この映画が作られた1948年には仮想通貨なんて夢のような話だけれど、仮想通貨に関わっている現代人がこの映画を観ると、学ぶべき教訓が多いと思う。人間が抱えている欲望なんて、100年経っても変わらないということ。見応えのある素晴らしい作品だった!
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