SOLA TODAY Vol.496
分譲マンションを購入したときに初めて知るのが、修繕積立金というもの。ボクが最初にマンションを購入したのは20年ほど前のことで、契約するときは詳しく理解していなかった。
だけど入居して管理組合の総会等に参加していると、その必要性がわかってくる。京都で暮らしたマンションは、入居してすぐに修繕積立金の増額が議論された。契約をする段階では売買を進めるため、業者が修繕積立金を低めに設定していることが多い。でもそれでは無理があると、いずれわかる。
そういう意味では、そのマンションはいいスタートを切れたということ。2回目、3回目の大規模修繕のとき、費用が不足して追加金を徴収するというマンションが増えているらしい。経済的に負担できない世帯もあったりするから、どうしてもトラブルになる。
どうやらその元凶は、マンションの駐車場とのこと。
分譲マンションの駐車場は、一定規模以上の建物の場合設置が義務付けられている。東京都であれば延べ床面積が1万平方メートル超で、かつ専有面積が2000平方メートル超の集合住宅では、居住戸数の30%以上、もしくは専有面積350平方メートルごとに1台以上、このうち少ないほうの台数の駐車場が付置義務として必要となる。他府県も同じように規制がある。
限られた敷地に駐車場を設置する場合、台数を確保するために機械式駐車場が採用される。これがクセものなんだよね。
ボクが京都で暮らしたマンションも、この機械式駐車場だった。この設備にかかるコストは半端なく高い。維持費だけでも大変だし、修理や改修となると莫大な金額になる。将来的な見積もりを管理組合の総会で知ったとき、開いた口がふさがらなかった。
それでも20年前なら、誰もが普通に車を所有していた。ところが最近はそうでもない。若い世代の車離れが進み、ボクのように自動車を所有をしない人が増えている。カーシェア等も普及しているので、都会では自動車を持つ必要性がかなり低い。
ゆえに最近のマンションでは駐車場の空きが目立っている。駐車料金はマンションの管理組合にとって貴重な収入なので、かなり深刻な問題だということ。よく駐車料金0円などというアホな分譲マンションがあったけれど、自分の首を絞めることに気づかない人が引き寄せられてしまうのだろうね。
この駐車場問題は、この記事のタイトルのように『地雷』になっている。頭を抱えている管理組合は多いだろう。空きがあるからといって、セキリュティの問題があるから住人以外に貸すのは難しい。もし機械式駐車場を一斉に交換するような事態になれば、管理組合の資金は尽きてしまうかもしれない。
ボクが今住んでいる神戸のマンションでもっとも気に入ったのは、駐車場が自走式だということ。機械を使っているのは出入り口のロボットゲートだけ。あとは舗装や駐車場本体の維持だから、機械式に比べて修繕にかかる費用は相当少ない。
幸いにも山手にあるマンションなので、今のところ駐車場に空きはない。さらに入居してすぐに修繕積立金も増額されているので、将来の修繕については比較的見通しが明るい。だけど社会の変化は猛烈なスピードで進んでいる。油断していると、資金の枯渇に直面することになるかもしれないね。
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