SOLA TODAY Vol.677
来年に予定されている消費税10%。増税は致し方ないと思う。だけどボクが理解できないのは軽減税率。一部の対象については、8%の税率が据え置きになる。食品や新聞がその対象。こんなものを設けるから、ややこしいことになる。
そこへ参入しようとしているのが出版業界。本が売れないと言われて久しく、そのうえ消費税が上がればさらに書店から人の足が遠のく。そのことを恐れた出版業界は、軽減税率の適用を目指す動きを見せている。
その条件とみられているのが、有害図書の排除。2016年の税制改正大綱において政府がこう述べているから。
「日常生活における意義、有害図書排除の仕組みの構築状況等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する」
出版業界が軽減税率の適用目指して「有害図書排除」へ 「何を以て『有害』指定するのか。何がエロになるのか不明」と懸念する声も
出版業界が軽減税率の適用を受けたい気持ちは理解できる。だけど問題となるのは、政府が述べている『有害図書』という表現。これほど曖昧なものはない。一般的な感覚としては、暴力やエロを扱った作品が『有害図書』になるのだろう。
でもその線引きを明確にできる人はいるのだろうか? もし線引きするとしたら『誰』がやるのだろう?
こんなアホらしい議論はやめたほうがいい。もし実行すれば、とんでもないことになる。一歩間違えば言論統制と同じ害悪をもたらし、特定の人たちの意向によって自分の本が『有害図書』扱いされるかもしれない。全体主義の発想とたいして変わりない。
そもそも『有害』の概念自体が不明瞭。誰かにとって有害であっても、別の誰かにとっては有益かもしれない。エロや暴力が含まれていなくても、過激な思想や嘘ばかり書かれた『有害』な本もあるはず。でもこの線引きが使われたら、そんな本でも『無害』だと認定されてしまう。
それにしても政府は中途半端なことを言うよね。出版業界としてはこんな不毛な議論に時間を費やしていないで、もっと根本的なことを考えたほうがいい。消費税率が8%のままだとしても、売れないものは売れない。業界の低迷は、そんなレベルの問題じゃないだろう。
書き手としては、売れるコンテンツを必死になって創造するしかない。そのためにも、表現の自由を奪うようなことはしないで欲しいと思う。
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