あの世とこの世の『裂け目』
今日は最高の大掃除日和。午前中に大物である換気扇の大掃除を済ませた。
秋の太陽の温もりを背中で感じ、心地よい風に全身を包まれながら、バルコニーのスロップシンクに張り付いて換気扇を磨き上げた。ちょっと疲れたけれど、とてもいい気分。
それにしてもビルトインの換気扇って、なんだあんなに羽根が小さくてたくさんあるんだろう。きっとあれは男性が設計したんだろうな。掃除することなんて、まったく考えていない構造。家庭用の機械設計をする人は、掃除することも考えて欲しいよなぁ。
さて、話は急に変わるけれど、ちょっとしたシンクロニシティを経験した。
新しい小説の構想を練っていて、あの世とこの世の移動方法をずっと考えている。いわゆる『扉』のようなものをイメージしているんだけれど、まだ「これだ!」というアイデアが出てこない。
散歩しながらも考えているので、きっとそんな波動をばらまいているんだろう。たまたま図書館で手にした本が、アイデアのヒントになるような内容だった。
『失われた地図』恩田陸 著という本。
去年に出版されたばかりの本なので、詳しいことは書かないでおこう。ただ、かなり不思議な小説だった。恩田さんはジャンルを超えた独自の世界観を持たれている作家なので、ちょっとうれしい不思議さをいつも体験できる。この作品もそうだった。
『グンカ』という幽霊集団が登場する。太平洋戦争時代の日本兵のような存在で、もちろん普通の人間には見えない。『グンカ』が現れる場所には、火事や災害、あるは犯罪等の不幸な出来事が起きる。
その『グンカ』がワラワラと湧いてくるのは、あの世とこの世の『裂け目』だった。まさにボクがイメージしている状況。
この小説の主人公たちは、この『裂け目』を見つけ、『グンカ』と戦いながら『裂け目』を縫うという仕事をしている。煙草屋という愛称のコーディネーターから情報を受け取ると、『裂け目』が現れそうな現場に向かう。
物語の舞台は、錦糸町、川崎、上野、大阪、広島の呉、そして六本木にまで及ぶ。変わった小説なので、ダメな人はダメだろうなw
ボクは面白く読んだけれど、欲を言えばもっと長編にして欲しかった。『裂け目』を縫う仕事をしている一族の背景が説明不足だし、登場人物たちのことも深く知りたい。少なくとも上下巻くらいの長さで、この物語の世界観に触れたかった。
それにしてもいいタイミングで読んだと思う。この小説で使われている『裂け目』という概念はいいよね。本来は開くべきでない、というダブー感が背徳的で好きだなぁ。この雰囲気を使わせもらおう。ボクの好奇心が刺激された、少し不思議な小説だった。
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