SOLA TODAY Vol.981
ボクは自殺を否定しない。むしろ日本でもオランダのように法に則した安楽死が定着すればいいと思っている。それが安らかな死であるならば。
ただどうしても許せない自殺がある。このブログでも以前に触れたけれど、他人を巻き込む自殺。ビルから飛び降りて歩行者を犠牲にするのも困るけれど、もっと言語道断で絶対に認められない自殺がある。それは社会に対する復讐心から、他人を刺したり銃殺したのちに自殺するというもの。
そんな自殺に関して、かなり興味深い研究結果が出ている。自殺に至るのは心の問題だと思っていたが、どうもそれだけではないらしい。
他人を巻き込む自殺をどうにかしようと、アメリカの大学では25年前から研究が行われている。元々はうつ病の研究が始まりだった。
うつ病の病理を解明する目的で、自殺した人の脳を集めて研究した。自殺者はうつに悩んでいるだろう、という推測がなされていたから。ところが意外なことがわかった。なんと自殺者の半数以上はうつ病ではなかったらしい。
それで研究が進められた結果、自殺という行為は脳の神経システムの異常によるものだと結論づけられている。つまり心の問題というよりも、脳に関する病気である可能性が高いということ。衝撃的な事実だと思う。
この記事によると、脳の前部帯状皮質と背外側前頭前皮質が正常に機能していないことがわかった。この部分はストレスを主観的に判断するプロセスに関係しているので、機能不全を起こすと正常な人が感じているよりも多大なストレスを感じるらしい。
つまり普通ならそれほど気にしないことを、強烈なストレスとして受け取ってしまう。さらに自殺者の脳は、意思決定に関しても普通ではない行動を取ってしまう。なんらかの選択を迫られた場合、あえてリスクの高いほうを選んでしまう。それは衝動的な行動につながるそう。
これらの研究結果により、いまではコンピュータによって自殺脳であるかどうかの判断ができるシステムが完成している。本人にしてみれば、脳の病気だと自覚するほうが前向きな対応が取れるかもしれないよね。
動物というのは強い生存本能を持っている。どんな苦しい環境でも生きていこうとする。動物全体を視野に入れた場合、自殺という行動をとる動物はかなり希少だと思う。そう考えると、人間の自殺率の高さは動物として異常な状態だと言っていい。つまりそれは病気の可能性が高いということ。
人間という動物の特異性について、いろいろ考えてしまう記事だった。
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