SOLA TODAY Vol.985
老後資金に2000万円が不足するという調査報告が炎上しているけれど、何をいまさらという感想しかない。高齢化社会の日本にとって、年金制度が維持されると信じているほうがヤバすぎる。若い世代が払っている年金は自分のためというより、現在の受給者のためだからね。
せっかく年金制度の破綻が話題になったからこそ、見直すべきシステムがある。それがベーシックインカム。
一時期ヨーロッパ等で社会実験が行われた話題になっていたけれど、ここのところやや沈静化している。だけどいまこそ、本気でこの制度を検討すべき時期だと思う。ベーシックインカムについて、うまくまとめられている記事を見つけた。
今、「ベーシックインカム」とは何か? 欧米の実験が話題となる理由
十数年前なら、ベーシックインカムという制度は非現実的なものとして扱われるしかなかった。だけど技術革新によってコンピュータやAIが進化することによって、それらが人間の労働力に取って代わることを疑う人はなくなりつつある。
企業にとって人件費ほどコストの高いものはない。だからAI等によって人間を仕事から外すことによって、長期的には利益の確保を見込むことができる。だけど仕事を奪われた人間が生きていくには、いまの年金制度では心もとない。だからこそ年金制度を完全に廃止して、ベーシックインカムに移行するべきだと思う。
この記事にベーシックインカムの定義がうまくまとめられている。
1. 定期的:一回限りで一括でという形ではなく、(例えば毎月などのように)規則的に支払われる。
2. 現金給付:給付を受けた人がそれを何に使うかを決められるように、適切な交換手段で支払われる。したがって食料やサービスなどのような現物での給付ではないし、使用目的が定められたバウチャーでの給付でもない。
3. 個人:個人単位で支払われる。したがって、例えば世帯単位ではない。
4. 普遍的:資力調査なしに、全ての人に支払われる。
5. 無条件:働くことや、働く意思を表示することを要件とはせず、支払われる。
これこそが完璧なベーシックインカムだよね。そしてこの制度の実現に向けて、民間や公的機関が具体的に動いている。だから単なる理想じゃない。
そんなお金がどこにあるんだ? と思う人は多いだろう。だけど現在の年金制度をチャラにすることで、財源を確保することは現実的に可能らしい。さらに人件費の削減によって利益を上げている大企業から、財源の一部を負担してもらうことも検討されている。
解決するべき問題は多いだろうけれど、それを超えるメリットがあると思う。貧困問題の多くが解決するだろうし、犯罪も大幅に減少するだろうと言われている。空き巣や強盗をする必要がなくなるからね。
働く必要がなくなった人間が堕落するのを心配する人もいる。だけどヨーロッパ等の社会実験によると、意外にそうでもない。余暇が増えることで、自分のやりたいことを見つけて人生を楽しもうとする人が多いそう。ボクも感覚的にそうだと思う。
今回の2000万円不足問題をきっかけにして、ベーシックインカムが真剣に検討されることになればいいなぁと願っている。
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