国が暗号通貨を潰しにきたぞ
ビットコインをはじめとする暗号通貨の価格は、数年前のバブルが収束して安定している。ただアルトコインを含めると乱立状態は変わらないので、なじめない人が多いかもしれない。
そんな日本の戦国時代のような状況を打開しようと登場したのが、Facebookの「リブラ」という暗号通貨。いわば織田信長のような勢いがある。
ところが既得権益者が「信長封じ」に奔走している。かさにかかって「リブラ」を潰そうとしている。
その既得権益者の代表は、『国家』という名の巨大勢力。
「リブラ」の計画がFacebookによって発表されたとたん、同じ国のアメリカ政府が反発した。やたらいちゃもんをつけることで、「リブラ」を封じ込めようとししている。
その方針はヨーロッパも同じ。今月の13日にフランスとドイツが共同声明を出した。「リブラ」はセキュリティ、投資家保護、資金洗浄、テロ組織の資金調達等に対して、Facebookが適切に対応できることを確信できない、と言い切った。
だけどそれは表向きの理由。その後に本音も語っている。
「通貨は国家主権固有の権限であり、民間の事業体が主張することはできないと確信しています」
「リブラ」潰しの理由は、これだけだと言っていい。これは「リブラ」に限らず、ビットコイン等のすべての暗号通貨も同じ。現代社会における国家の通貨発行権は、国家権力のなかでも軍事力と肩を並べるほど大きな意味を持っている。
ところが暗号通貨を構成しているブロックチェーンというプログラムは、中央集権を打破するために開発された。これは通貨だけに限らず、情報のやり取りに関しても言える。
お金を含めた情報のやり取りを、個人対個人で行えるのがブロックチェーン。かつ、その情報の保護に関しては、ブロックチェーンに関わるすべての人が担保することになる。つまり国家等の権力者によって改ざんすることが不可能だということ。
だからこそ必死になって「リブラ」を潰そうとしている。世界的に影響を持つFacebookが暗号通貨を手にすれば、国境がなくなるのと同じ。それは世界中の多くの人にとってメリットは大きいけれど、国家にとっては存在意義を失うほどのデメリットしかない。
だからフランスとドイツは、欧州の中央銀行に呼びかけて暗号通貨への取り組みを指示している。「リブラ」を牽制しつつ、先に新しいシステムを構築してしまおうというつもりだろう。
でもそれなら従来の通貨と同じこと。中央銀行と国家による支配を受けることで、中央集権は従来のまま維持されてしまう。これではブロックチェーンなど意味がなくなり、単なる電子マネーでしかない。
さてさて、Facebookはどうするのだろう? アメリカ政府に対しては、懸命にロビー活動を続けているらしい。今後の動きを注目したいと思う。
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