フェイクだと判断するのは誰?
ある情報がフェイクかどうかを、誰が、そしてどうして判断するべきだろう?
フェイクニュースというのは、マジで罪が重い。風評被害をもたらしたり、いわれのない誹謗中傷で特定の個人を追い詰めてしまう。ひどい場合には、国家を二分して内戦を引き起こすことだってある。シリアが戦火にさいなまれているきっかけもネットだった。
ただフェイクだと判断することはとても難しい。うっかり流れた情報ならまだしも、あえて意図的に配信されているフェイクニュースだと、リアリティの高さが完備されていたりする。もともと悪意があるからね。
そんなフェイクニュースによる弊害を防ぐため、シンガポール政府が思い切った法律を今月の2日に施行した。
記事から法律の概要が抜粋してみよう。
『事実と異なる情報やミスリーディングな情報を公共の利益に反して故意に流すことを禁止し、個人がうその情報を投稿・拡散した場合、最も重い刑罰で禁固刑が設けられています』
この文章を見ている限りは、特に問題を感じない。むしろ必要な法律だとさえ思える。日本でも先日に裁判で同様の判決が出た。元大阪市長の橋下徹さんを誹謗中傷したツイートに対し、それをリツイートしただけの人も責任を問われるという判決。
だからむやみやたらに情報を拡散するべきではない。一次情報にアクセスできないのなら、他人を非難するような情報は拡散するのはアウト。フェイクニュースや誹謗中傷は明らかな暴力であり、拡散することはその暴力に加担していることになる。
ただシンガポールの法律には大きな問題がある。
フェイクニュースだと判断するのが、シンガポール政府だということ。これはヤバいよなぁ。
この法律は言論統制だとして、シンガポール国内の市民団体が反対を表明しているとのこと。そりゃそうなるだろう。国家権力によって嘘かどうかを判断されるなんて、恐ろしくてうっかりと口を開けない。日本の戦前にあった治安維持法を思い出してしまう。
だけどフェイクニュースを放置するのも問題がある。嘘をあえて流す人と、それを拡散する人を罰しようという法律自体は必要な時代だと思う。そうなると問題はフェイクだと判断する基準だよね。
以前にもこの問題については書いたけれど、結局は自衛するしかないと思う。政治がらみや他人の行動に対する情報は、確証が持てない限り拡散するべきじゃない。だからそうした情報に接したとき、じっくりと考える時間を持つしかないと思う。
確証という言葉も実は曖昧で、事実を鵜呑みにしたことで確証したと思い込んでしまう可能性もある。情報に対するセルフチェック機能のトレーニングを怠ると、罪に問われる時代になったことを自覚するべきかもしれないね。
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