人が進化したのはバカだったから?
何かを習得しようとするとき、もっとも効率的なのは熟練者を真似ること。
ボクが学習塾の飛び込み営業をしていたとき、上司である課長の営業トークがすごいと思った。それで徹底的に真似することを意識して、ひたすら練習した。
その結果として実績をあげられるようになったけれど、ボクにあるあだ名がついた。『課長のコピー』というもの。ボクにすれば尊敬する課長のコピーだと言われたから、ディスられているというよりは称賛の言葉だと感じていた。
『課長のコピー』と言われるのは、そのすべてを意識的、あるいは無意識的に真似ていたからだろう。言葉の使い方や間の取り方だけでなく、ちょっとしたしぐさや笑顔を出すタイミング等まで意識していた。つまりボクなりに工夫することなく、ただただ何も考えずに真似ていただけwww
どうやらそれは人類特有の能力らしく、そのことによって人間は進化したらしい。
人間が繁栄した鍵は革新的な思考力ではなく「何も考えずに他者を模倣する力」かもしれない
人間とチンパンジーを比較すると、遺伝子的にはさほど大きな差異がない。なのに人間はこの地球を席巻する動物となった。その要因として様々な見解が出ているけれど、最近の科学者の研究結果として、人間の「何も考えずに他者を模倣する力』が進化の要因として認識されているそう。
リンク先の記事で興味深い実験が紹介されていた。人間の子供とチンパンジーを比較したもの。オヤツの入った機械仕掛けの箱を用意する。ひとつは中が見えなくて、もうひとつは透明になっている。
オヤツの取り方をていねいに教えると、子供もチンパンジーも真似をしてできるようになった。ただし、その取り方にはまったく意味のない、『棒で箱を叩く』という行為が含まれている。
最初は子供もチンパンジーも同じように棒で箱を叩いていた。だけど透明な箱になると、その構造がわかる。棒で叩く必要がないと理解したチンパンジーは、そんな無駄な行動をやめてオヤツを取るようになった。
ところが人間の子供は、いつになっても棒で箱を叩いていた。これはどう考えてもチンパンジーのほうが合理的で頭がいいよね。つまり人間はバカだということwww
だけどこのバカになって完璧に真似をするということで、人間はチンパンジーとはちがう進化を遂げたと見られている。日々の生活を営んでいると、様々な困難が訪れる。だからそれらに対処していくためには、熟練者の真似をするのが効率的。
理屈はわからなくても、結果としてうまくいけばいい。余計な考えをはさまず、教えてもらったとおりに真似る。人間はそのことによって、膨大な知識を仲間や子孫に伝えていくことができた。そして脳を進化させることで、現在の繁栄を築いたということらしい。
最初にボクの経験として書いたとおり、この事実は実感として理解できる。要するに『素直』であることが、人間の特質なんだろうね。それゆえ種としての進化を達成できたんだと思う。
だけど全員が素直だと困る。新しいことに気づけないから。だから一定の割合で疑い深い人間、頑固な人間、そしてサイコパスのような人が混在するんだろう。そんな人たちのイノベーションによって進化の底上げをしつつ、他の人は新しい情報を真似ることで共有していたったんだろうなぁ。よくできているよね。
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