香港の終焉は恐怖の始まり
欧米では人種差別に対する抗議デモが起きている。日本のマスコミも注目している。だけど日本を含めた東アジアにおいて、人種差別と同等に関心を向けるべきことがある。
それは香港のデモ。
一国二制度が原則だった香港に対して、中国政府は本土と同じく国家安全法の適用を決めた。表向きは暴動を抑えるためだけれど、中国共産党の意図は明らか。かつてはイギリスの植民地だった香港を、完全支配下におくためのもの。
その根底にあるのは、チベットやウイグルの人たちにやってきたことと同じ。これに対してアメリカのトランプ大統領は反発。国家安全法を香港に適用するなら、香港に対するこれまでの優遇措置を撤廃すると宣言した。
そして香港と深いつながりを持つイギリスのジョンソン首相も、香港人に対してイギリスの永住権を与えることを口にしている。このニュースを聞いたとき、ボクは素晴らしい対応だと感じた。だが、そう簡単な問題ではないらしい。
リンク先の記事はイギリスが植民地の人たちに対して、どのような対応を取っていたのか分かりやすくまとめられている。かなり複雑なものなので、詳細は割愛する。くわしく知りたい人はリンク先の記事を参照してもらえばと思う。
イギリスは基本的に白人以外の移民を避けてきた。EUを脱退したのも、移民に対する反発が大きな要因となっている。イギリスが植民地の人たちに与えたのは、BNO(海外在住英国民)というもの。
このBNOはイギリスへの移住を認めるものじゃない。単にBNOのパスポートが発行されるだけ。だけど香港の国家安全法に対抗するため、ジョンソン首相は BNOのパスポート所持者に対して無条件で1年のイギリス滞在を認め、ゆくゆくは永住権を与えることを宣言した。
ただ問題は多い。BNOを取得している人は1997年の香港返還時に在住していた人だけ。つまり現在のデモを主導している若い人たちにその権利がない。さらに資格があったのに、BNOを申請できない人も大勢いたそう。
もしイギリスへの移住が可能になったとしても、高齢者ばかりになってしまう。BNOの家族までも含めて移住可能とすればベストだけれど、そうはなっていない。これを知って、ボクはガッカリした。
ただ中国政府としてはBNOをこれまで無視してきている。だからイギリスが何を言っても、香港人を国外に出すことを妨害するはず。もし本格的に締め付けが強まれば、香港を出るのは国境を突破して亡命するしかない。
欧米諸国が中心となって、国家安全法の適用を非難している。日本政府も憂慮を示している。だけど中国政府は聞く耳を持たない。まだまだ激しいデモは続くだろう。香港を変えていこうとする若者たちの姿を見ていると、胸が痛くなってくる。
ボクの私見だけれど、香港はもう手遅れだと思う。元の香港に戻れないと思う。海外の投資家はすでに撤退しつつある。そして逃げられる人は、すでに国外へ移住しているだろう。遅かれ早かれ、香港は中国共産党に飲み込まれてしまうだろう。
そして香港の終焉は、東アジアにおける恐怖の始まりだと思う。香港の次は台湾。中国政府は台湾を自国だと主張し続けているから。もしそんなことになれば、東アジア発の世界大戦になりかねない。
マスコミは香港の現状をもっと報道するべきだし、日本の国会議員も非難の声を上げるべき。でないと取り返しのつかないことになってしまう。香港の現状は、日本の未来の姿かもしれない。
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