半端な法律がバカ者を育成する
法律は必要だけれど、決められたことを盲信する人は絶えない。人間が作るものだからダメな場合もある。だけど法案が通過すると、疑問を持つことさえない人の多いこと。そのうえ罰則などが定められていると、何がなんでも守ろうとしてしまう。
ドイツでかなり中途半端な法律が制定された。多くの人が抗議しているが、決まったものだからとそのとおりにする人もあるだろう。なぜこんな法律が通過したのか不思議で仕方ない。
犬の散歩は「1日2回、合計で1時間以上」という法律が制定される
タイトルのとおりの法律が、ドイツで2021年から適用される。記事を読んだ範囲において、罰則規定はなさそう。ただ法律となった以上、これを遵守する人が大勢出てくるだろうし、場合によっては『犬の散歩警察』的な自警団が登場するかもしれない。
この法律の根底にある思想には賛成。犬を大切に飼うことが趣旨なんだから、伝えたいことはわかる。犬を長時間リードにつなぐことも禁止しているそうなので、評価できる部分はあると思う。
だけど1日2回、合計で1時間以上と決めたのはマズい。子犬か老犬か、あるいは犬種によって、適切な運動時間がちがってくるのは当たり前。犬と暮らしたことがある人なら理解できるだろう。そうした個別の状況を無視した法律は、誤解と混乱を招くだけだと思う。実際にドイツではかなり多くの抗議が出ているらしい。
この真夏の時期に外を歩いていると、胸が痛くなる場面によく遭遇する。それは炎天下の真っ昼間に犬の散歩をしている人。もし許されることなら、その飼い主の首根っこをつかまえ、裸足にさせてアスファルトの上を両手両足を使ってはわせたい。そこまでしなければ、自分の愛犬がどれだけ暑い思いをしているかわからないだろう。
もし日本でドイツのような法律ができたら、真夏の昼間に犬の散歩をする人が増えそう。早朝に起きて1時間を確保しようなんて思う人のほうが少ない気がする。とにかく公的期間が動物の飼育について具体的な数字を出すのなら、あらゆる状況を想定したものにするべき。なぜなら何も考えずに数字だけを守ろうとする人が出てくるから。
少し前、犬についてネットをにぎわしたことがある。それは犬用のマスク。犬に新型コロナが感染したというニュースが出て、犬用のマスクを紹介した記事がネットで流れた。ボクはそれを見た瞬間、アホらしさを通り越して怒りを覚えた。
犬や猫に人間のような汗腺はない。体温が上昇したときに熱を逃すのは、ほとんどが口を使う。その口をマスクでふさいでしまうなんて言語道断。だけどまことしやかにネットでそんな記事が流れると、何も考えない人は愛犬にマスクをつけようとするかもしれない。こんな恐ろしいことはない。
法律を制定することは大切だけれど、もっと慎重になるべき。このドイツの新しい法律は、ハッキリ言って中途半端すぎる。せっかく理想的な趣旨で発案したものだから、もっと現実的な視点で犬を守ることのできる法律に改正して欲しいなぁ。
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