死後の地獄を描いた映画?
久しぶりに衝撃的な映画を観た。1997年に『キューブ』というカナダの恐怖映画があった。立方体に閉じ込められた男女6人がキューブから脱出するという作品。ひたすら怖いだけの物語で、仕掛けられたトラップに顔をしかめるばかり。
その『キューブ』のオマージュ的作品だと思って観た映画がある。タイトルもそっくりだから。ところが視聴者に解釈は委ねられるものの、想像していたより奥の深い作品だった。
2023年 映画#155
『TUBEチューブ死の脱出』(原題:Méandre)という2022年のフランス映画。『チューブ』というタイトルからして、『キューブ』をリスペクトしているのがわかる。その名のとおり、細長いチューブ状の密室から脱出する物語。
まだ新しい映画なので気になる人はこの先を読まないように。とにかく怖くてエグい。それは覚悟した方がいい。そして閉所恐怖症の人は絶対無理だと思う。そうではないボクでさえ、呼吸困難になりそうなパニックを感じたから。
ただ単なる恐怖映画と違って、最後まで観ると奥の深さがわかる。途中の恐怖は割愛して、その部分だけ述べておこう。ここからネタバレだよ。
主人公はリサという写真の女性。娘がいたけれど、彼女のミスで死なせてしまった。もし生きていたら9歳の誕生日だというその日、彼女は迷子になって人のいない道をさまよっていた。その時に車を運転して通りかかったのがアダムという男。アダムの正体は殺人鬼だった。
近くの街までヒッチハイクすることになったが、その途中でリサは襲われる。そして気がつくと先ほどの写真の『チューブ』の中にいた。脱出劇は割愛するとして、結末を述べておこう。
リサは死んだはずの娘と出会う。そして脱出したあと、天国のような世界で暮らすことになる。つまりリサはすでに死んでいたと考えられる。映画では明確に述べられていないけれど、娘のセリフからそのことを感じさせる。「ママは何度も死んだのよ」という言葉。
おそらくリサは殺人鬼のアダムによって殺されたのだろう。ところが娘を死なせてしまった罪悪感によって成仏できない。その囚われから抜け出すリサの魂の苦悩が『チューブ』からの脱出に象徴されているんだと思う。これはボクの解釈。
人によってはSF映画として観ることも可能。そう感じさせるシーンが途中にいくつかある。『チューブ』を作ったのが宇宙人という解釈も可能だと思う。そのあたりは視聴者に任せてあるという雰囲気。とにかくただ怖いだけでなく、魂の浄化を感じさせる秀作だった。恐怖映画として埋もれさせてしまうのはもったいない映画だと思う。
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