SOLA TODAY Vol.182
ボクが暮らしている神戸の六甲近辺は驚くような大邸宅が多い。近くを散歩しているだけで、どこからどこまでが家の敷地なのかわからないほどの家がいくつもある。
でも同時に学生の街でもある。だからそんな大邸宅を見学しつつ散歩をしていると、神戸大学を中心として単身者用のマンションが目につく。いつも買い物の行き帰りに通る裏道に、レオパレスのマンションが2軒あった。
なぜそれが気になったかというと、歩いて5分ほどの近い距離にそれらのマンションがあったから。ところが1〜2年ほど前に、どちらのマンションもレオパレスの看板が取り外されているのに気づいた。時期的にもほぼ同時と言っていいくらい。
もしかしたらレオパレスは倒産したのかな? とマジで思った。でも回数は減ったような気がするけれど、相変わらずテレビCMはオンエアーされている。だけど何かが起きているという直感はあった。そしてやっぱり起きていた!
愛知県のマンションのオーナーが、レオパレスを提訴した。同じ裁判を検討しているオーナーが全国に1000人以上もいるらしい。まるで投資詐欺のような騒ぎになっている。この記事を読んだだけではよく事情が理解できなかったので、ちょっと調べてみた。
すると昨年の11月の記事で、マンションのオーナーが集まって結成された『LPオーナー会』がレオパレスに集団訴訟を行なっていて、その会の代表にインタビューをした記事を見つけた。
突撃取材「家主の私がレオパレスを訴えた理由」集団訴訟はなぜ起きたか?
かなり長い記事だったけれど、このインタビューを読んでようやく事情が理解できた。問題の根底にあるのは『サブリース』という契約だった。
レオパレスといえば、家電や家具つきで部屋を借りることができるので有名。学生のような単身者にとっては便利なシステムだと思う。だから六甲でも、すぐ近い距離にレオパレスのマンションが並んでいたのだろう。
このレオパレスというのは、先ほどのサブリースという契約で成り立っている。
通常の賃貸住宅は、部屋を借りる人と大家さんが契約を交わす。ところがサブリースは、マンションのオーナーとレオパレスが賃貸契約を交わしている。
だから借主と直接契約するのはレオパレスということで、簡単にいえば『また貸し』という形式。
レオパレス側のうたい文句によれば、入居者の有無に関わらず家賃収入を保証します、というもの。部屋数あたりの家賃を決めて、それを毎月入金してくれる。オーナーは入居者募集に対して何もしなくていい。おまけに10年間はその家賃を減額せずに保証するという契約になっている。
最初の記事で愛知県のオーナーが起こした訴訟は、減額しないと言っていたにも関わらず、会社の経営が苦しいから、とレオパレスは無理やり減額したらしい。その減らした差額を請求する裁判が日本全国で展開されようとしている。
あくまでもオーナー側の意見だけれど、2つ目の記事をじっくり読むとレオパレスの強引なやり方がよくわかる。例えば家電や家具に対して、オーナーがリース料を支払っている。一部屋あたり2000円という金額。
その条件として5〜7年単位で新品に交換するというものがある。ところがレオパレスはのらりくらりと言い逃れて、まったく新品に交換しない。それでも2000円のリース料は徴収される。
このリース料を年間単位で考えると、オーナーが家電の量販店で現物を購入したほうがはるかに安い。その他清掃費用や維持費も、格段に高い料金を請求されるとのこと。
今回の訴訟の対象になっている10年間の家賃保証に関しても、法律の抜け目を考慮したうえでの契約らしい。契約書にそのことが書かれていても、借家人を守る法律があるので無効になる。だから平気でレオパレスはオーナーに約束していた家賃を減額できる。
さらに借主はレオパレスと契約しているから、オーナーがレオパレスとの契約を解除すると住人はゼロになってしまう。それがサブリースの怖さ。マンション建築にローンを抱えているのに、一から借主を探さなくてはいけない。
一般的に不動産投資をしている人は、サブリース契約なんて絶対結ばないらしい。自分の裁量で部屋を改装したり、地域にあった適切な家賃を決められないから。近隣の賃貸住宅と競争するためには、サブリース契約では動きが取れない。
つまりそうした不動産経営に対する実情に詳しくない人が、安易にサブリース契約を結んでしまうのだろう。マンションを建てさえすれば、あとは収入が保証されるように思ってしまうからね。それを見越した、かなり強引な営業をレオパレスは行なっていたらしい。あくまでもオーナ側の意見だけれどね。
個人的にはこの裁判の行方が気になるところ。もしオーナーサイドの主張が認められたら、レオパレスは経営が難しくなると思う。散歩中に何気なく見ている賃貸マンションだけれど、いろいろなドラマがあるんだね〜!
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