SOLA TODAY Vol.268
先日スーパーのレジで並んでいるとき、中年の男性が商品の金額についてクレームをつけていた。うわぁ、面倒なレジに並んだなぁ、と思ってうんざりしたけれど、仕方ないと思ってあきらめた。
ところがボクの前にいた高齢者の男性は、我慢しきれなくなったのか、「何やっとんね!」とブチ切れた。クレームをつけていた男性もレジの女性も、そしてボクもビビって凍りついた。温和そうな男性だっただけに、そのギャップに驚いた。
最近は高齢者のブチ切れが話題になることが多い。トラブルで電車が止まったようなとき、駅員に詰め寄っている高齢者の映像をニュースで見たりする。なぜ日本の高齢者はすぐに怒るのだろう? そのことについて検証した記事を読んだ。
高齢者がキレることについて、以前の定説はこうだった。
歳をとると脳の前頭葉が収縮し、感情の抑制が利かなくなるという説。
さらに男性の場合、テストステロンというホルモンが低下することで、60代や70代になると女性の更年期と同じような症状になるという説。
ところが欧米では、高齢者は穏やかであるというイメージが一般的らしい。科学的にも検証されていて、今年の1月のケンブリッジ大学の研究発表では、「年を取るほど脳の前頭皮質が薄くなり、よりしわになることなどから、気が長くなり、穏やかになる」と結論づけている。
実際に意識調査をしても、外国では年齢を重ねるほど幸福度が増している。日本の幸福度は元々が低い。世界155カ国で51位であり、サウジアラビアやウズベキスタンよりも低い。
それでも他国では高齢者ほど幸福度が増すのに、日本では歳をとるほど幸福度が下がるという逆転現象が起きている。
なぜそんなことになってしまうのだろうか?
この記事によると、欧米と日本のちがいは、現役時代の働き方にあるらしい。
欧米のエグゼクティブの人たちは、現役時代に目一杯働き、創り上げた財産で退職後の人生を楽しむことに主眼を置いている。チャリティ活動をしたり、財産を寄付することで自分の人生の成果を客観視している。
ところが日本人は、定年後にどうしていいかわからない人が多い。居場所がなくなったように感じ、自分の承認欲求が満たされない。要するに『孤独』だということ。
自分の存在が軽視されたり無視されているような気がして、普段から鬱々としている。そんなとき感情を刺激されるような出来事に遭遇すると、大きな声をあげて自分の権利を主張しようとする。ため込んで行き場をなくしていた怒りが、一気に吹き出すのかもしれない。
どんなことでもいいから、自分が打ち込めるものを持っておくべきなのかもね。現役のあいだは、それが仕事であってもなくてもいいけれど、退職後も続けられるものに取り組むべき。
定年退職して社会とのつながりをなくし、朝から晩までテレビを見ているだけの生活なら、承認欲求が満たされるわけがない。そういう生活が好きな人なら別だけど、そうじゃない人は不満がたまるばかりだろう。
今はネットもあるから、年齢に関係なく自分の世界を広げることができる。早いうちから時間を忘れて打ち込めることを見つけ、自分という存在を表現できる『場』を持つことが必要だと感じた記事だった。
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