SOLA TODAY Vol.288
我が家のバルコニーから私立の女子中高が見える。神戸ではそこそこの進学校らしく、公立とちがって土曜日の午前中も授業がある。ボクの時代のころには普通のことだったけれどね。
驚くのがクラブ活動。おそらく完全に休んでいるのは定期試験中と正月の3ヶ日くらいだけじゃないだろうか? ほぼ毎週日曜日には、グランドで走り回っている姿を見る。
生徒も保護者も大変だろうけれど、もっと大変なのが顧問の教師。家庭崩壊していても不思議じゃない。もし顧問がひとりだとしたら、休日なんてないかもしれない。
公立の場合はどうなのだろう? 学校の教師というイメージは、夏休みがたっぷりあるように感じる。ところが実態はそうじゃないらしい。日本でも代表的なブラック労働だということが耳に入ってくる。
小学校で3割、中学校で6割の教師がすでに過労死ラインの仕事をしているとのこと。これは文部科学省によって10年ぶりに行われた「教員勤務実態調査」の結果。でも実際の現場は、この数値以上に深刻らしい。
この実態調査によると、現状では小学校教師の平均労働時間が11時間15分、中学校が11時間32分となっている。ほぼ1日の半分は学校にいると言っていい。
特に中学校の教師が大変らしい。30年ほど前でも授業のコマ数が20を超えるときついと言われていた。ところが現代では、21~25コマが49.9%、26コマ以上も含めると70.7%とのこと。かなりヤバい。
さらに部活が忙しさに輪をかけている。先生の84.4%が顧問をし、週の活動日は「6日」が49.1%、「7日」も15.1%と、3人に2人が満足な休みをとれていない。月に2日も休めれば、かなりラッキーということ。
これはボクも実感している。中学校のときは水泳部で、試合は日曜日だった。土曜日は半日授業があるから無理。丸1日試合をするとしたら、日曜日しか考えられない。当然顧問の教師は朝から夕方まで会場にいる。
これだけ忙しいのに、さらに問題が起きる。子供のいじめ。もし担任のクラスでいじめが原因で自殺するような子供が出たら、そのストレスだけで倒れてしまいそう。今のような季節になると、熱中症の心配もしなくちゃいけない。
ムカつく生徒がいても、頭をはったくだけで体罰だと非難される。モンスターペアレンツだって無視できない。とりあえず当たり障りがないように、1年を過ごすことだけに神経を費やすことになる。
こんなことでまともな教育ができるわけがない。はっきり言って、今の教育システムは崩壊している。根本的な発想を変えないと、自殺する教師が出てくるだろうし、そもそも教職に就く人がいなくなる。
同じ年齢で学力に差のある子供を、一斉に教えること自体に無理がある。できる子供は退屈で、できない子供はついていけない。いまだにアナログ的なシステムに支配されていて、病気で子供を休ませるのにLINEやメールは使用不可。すべてにおいて機能不全を起こしている。
クラブ活動の顧問だって、民間人の委託を考えるべき。スポーツ経験者や学校の卒業生、あるいは定年になった元教師等、その気になれば安心して子供を指導したり、試合に帯同できる人を雇えると思う。むしろそのほうが、子供にスポーツの楽しさを教えることができるかもしれない。
ボクは子供がいないので実感はないけれど、客観的に見ても現在の教育システムは歪んでいると感じる。きっと時代の変化についていけないのだろう。この記事を読んでいて、日本の未来に不安を持ってしまった。
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