永遠に『既読』がつかないLINE
昨日の日付が変わるころから今朝にかけて、神戸六甲周辺は強烈な六甲おろしにみまわれた。冬型の気圧配置になったとき、強い六甲おろしが吹くことは多い。だけど今回の風は、まるで台風のような暴風だった。
ちょうど眠りかけたころに風が吹き出したものだから、眠れないこと、眠れないこと。結局午前3時ころまで眠ることができず。その後もかなり浅い眠りだった。だから今日はかなりの寝不足状態。午後から仕事をしていても、眠気との戦いだった。今夜の読書は、早めにダウンしてしまいそう。
ところが眠いはずなのに、見ているあいだはばっちりと目が覚めていたドキュメントがある。
『市川海老蔵にござりまする』という、市川海老蔵さんに密着したドキュメント。毎年この時期に放送されるので、いつも楽しみにしている。昨晩放送された番組を録画して、今日の午後に見た。
楽しみにしていたけれど、今回はいつもと事情がちがう。それは昨年の6月に海老蔵さんの妻である小林麻央さんが亡くなったから。昨年のドキュメントのときは、ガンであることが公表され、闘病している麻央さんの姿を見ることができた。だけど、もう彼女はこの世にいない。
だから今回のドキュメントは、妻、そして母を亡くしたこの写真の3人に焦点が当てられている。昨年は麻央さんが亡くなった翌月に、長男の觀玄くんが最年少の宙乗り舞台に挑んだ。
そして今年の1月は、長女の麗禾ちゃんがかぐや姫の役で、海老蔵さんと同じ舞台に立っている。母の死を経験しながらも、なんとか前に進もうとしている2人の姿に胸を打たれた。健気で可愛いだけに、余計つらい。麻央さんも2人の舞台を見たかっただろうね。
海老蔵さんも言っておられたけれど、まだ子供たちは戸惑っているらしい。そりゃそうだよね。だけど戸惑いながらも、姉と弟は手を取り合って舞台にはげんでいた。彼らの努力と、舞台をやり終えた笑顔を見ていると、こちらが癒される。
戸惑っているのは海老蔵さんも同じとのこと。亡くなった直後よりも、インタビューを受けておられた先月のほうがつらいと述べておられた。今でも亡くなった麻央さんに向けてLINEをするらしい。もちろん既読はつかないし、返信もない。
海老蔵さんという人は、泣き言を吐かない人だということ。だけど妻の麻央さんだけには、自分の本音を言っていた。だけど今はその本音を聞いてくれる人がいない。誰にも弱音を吐くことができない。だから麻央さんあてのLINEに本音をつづっておられる。
切ないよねぇ。永遠に既読がつくことのないLINEを見つめるのって、どんな気持ちなのだろう? これは当人しかわからないと思う。
でもとても素敵なドキュメントだった。麻央さんの映像が出るかと思って見ていたけれど、今回はたった一度も、なんと写真さえも出なかった。きっと2人の子供も放送を見るからだろうね。子供たちがママの元気な動画を見たら、思い出して泣きだしてしまうかもしれないもの。
ボクはテレビの録画を見たらすぐに消してしまう。だけどこの番組はまだ消さずにおいている。時間のあるときに、もう一度じっくりと見たいから。懸命に舞台に向かう子供たちをテレビ画面で見て、勇気とやる気をもらっているのは大人のボクなのかもしれない。
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