SOLA TODAY Vol.780
努力が反映される社会は、やりがいを生む。でも自分ではどうしようもない要因によって人生の岐路を決められたとしたら、一気にモチベーションが下がってしまうだろう。
21世紀になった現代でも、そんな理不尽なことが当たり前のように行われている。
ハーバード新入生の合言葉「君は何を持っているの?」が意味するもの
アメリカにおける最高峰の学府のひとつであるハーバード大学。ところがハーバードの入学審査をめぐって、裁判が行われているらしい。訴えているのはアジア系アメリカ人の人たち。
ハーバード大学に入るためには、もちろん勉強ができなくてはいけない。だけどずば抜けた成績を取っているからといって、確実に入学できるわけではないらしい。なのに自分より成績が低い人の入学を認められるのが、今のハーバードの現状。
その根底にあるのが、アメリカの民族問題。人種による不公平感をなくすため、どちらかといえば差別を受けている民族系の入学を優先させるらしい。そんな制度があるのを知らなかった。
もっとも優遇されているのが、アフリカ系アメリカ人。黒人差別を受けてきた経緯があるので、優先順位の筆頭になっている。つまりまったく同じ成績でも、白人に比べて黒人が有利になる。
そのあおりを食っているのが、アジア系アメリカ人。なぜならアフリカ系アメリカ人は、差別を受けきただけでなく貧困層も多いから、経済的に恵まれない民族を優先するという論理が働く。
ところがアジア系アメリカ人は、どちらかといえば中流階級が多い。民族的にも、そして経済的にも中途半端な位置にいるので、どれだけ勉強を頑張っても努力が報われないことが多いらしい。それで裁判を起こしているそう。
それ以外に優遇されるのは、高校時代に『何か』をやっていたという経歴。そして両親のどちらかがハーバード出身であるか、多額の寄付をしている家族は入学が優先される。
アジア系アメリカ人が普通の高校生活を送り、両親はハーバード出身でなく、多額の寄付ができない中流家庭だとすると、どれだけ学力が優秀でもハーバードの門をくぐることが難しいということ。これはツラいよねぇ。
だからこのタイトルにあるように、新入生が寮に入ると「君は何を持っているの?」と互いに尋ね合うらしい。アフリカ系であるか、両親がハーバード出身であるか、多額の寄付をしているか、あるいは高校時代に目立つような活動をしたのか。でないとハーバードに入れないから。
そう考えると、日本の入試制度はまだマシかもしれない。医学部の女性差別問題はあるけれど、とりあえず勉強を頑張れば結果として報われる可能性が高い。だけどアメリカのように自分ではどうしようもないことが影響するなら、やる気をなくしてしまうよね。
本当の意味で平等で公平な社会というのは、努力が正当に評価されるということだろう。けれどなかなかそう簡単にはいかない。まぁそれゆえ、数々のドラマが生まれるんだろうけれどね。裁判の結果がどうなるか、気になるところだなぁ。
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