あおり運転者の脳内現象
自動車のハンドルを握ると、とたんに人格が変わる人をボクは何人も知っている。普段は温厚で真面目な人なのに、まるで悪霊が乗り移ったかのように乱暴な運転をする。
舌打ちしながら他のドライバーをののしったり、やたらクラクションを鳴らす。制限速度なんて気にしていない。周囲のドライバーや自動車を、戦地における敵兵だと思っているんじゃないかと疑いたくなる。こういう人が「あおり運転」をするんだろうね。
そんな人の脳内で何が起きているかについて書かれている記事を読んだ。
人はなぜ「あおり運転」をやめられないのか? 高級車に乗ると増える“脳内物質”の正体
まず最初に面白いなぁと思ったのは、高級車に乗るとテストステロンというホルモンの分泌が上昇するということ。これは男性ホルモンの一種で、攻撃性を高める性質を持っている。
ある実験でカローラとフェラーリに乗ってもらうと、カローラではほとんど変化しなかったテストステロンの数値が、フェラーリに乗ると明らかに上昇したらしい。これは高級車だけではなく、大型車の場合でも同じ結果になった。
おそらく「あおり運転」をする人や、ハンドルを持つことで人格が変わる人は、この作用が他人よりも強いんじゃないだろうか。普段おとなしい人がお酒を飲んだら乱暴になるのと同じように、高級車や大型車に乗ることで自分が強くなったような錯覚をしてしまうんだろうね。
周囲の車より自分のほうが強い、という感覚が攻撃性を高めてしまう。普段から職場等でなんらかの抑圧を受けているような人ほど、その反動が大きいように思う。だから少しでも自分の進路を妨害されたら、怒りが止まらなくなるんだろう。
さらに興味深いのは、攻撃性の高まりに引きづられるようにして、自分の行動に対する正当性が高くなるそう。つまり自分が正しいと錯覚するから、間違った運転をしている人間を懲らしめてやろうと思ってしまう。それゆえ割り込みなんて許せない。
たとえ錯覚であれ、正義感に基づいた制裁行動は脳内でドーパミンという神経伝達物質を分泌する。そうなると人間は快感を覚える。こうなったら自分を止められないだろうなぁ。
高級車や大型車に乗ることでテストステロンが出て攻撃性が高くなる。そしてイラッとしたとき、相手に思い知らせてやろうと怒る。そうなるとアドレナリンが出ることで、一気に攻撃態勢になってアクセルを強く踏む。そして相手を脅したりあおることで、正義感が満たされて脳内で快感を覚える。
こんな状態になった人間を止めるのは難しいそう。攻撃を完遂するまで満足しないので、野生の猛獣と思ったほうが賢明らしい。だから不用意に窓を開けたりしないで、ドアをロックして警察に通報するほうがいいとのこと。ボクもそう思う。
もっと怖いのは、自分が加害者になること。もし普段から運転することがある人なら、家族の人に自分の人格が変わっていないかをチェックしてもらうべきかもね。少なくとも交通違反でキップを度々切られるような人は、加害者となる可能性が高いことを自覚したほうがいいと思う。
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