これはイギリス風漫才かもね
中退したけれど、ボクは外国語大学に通っていたことがある。英米語学科を選択したのは、英語という言語が大好きだから。偏見かもしれないけれど、ポップミュージックは英語のために存在するような音楽ジャンルだと思う。
そんな英語のなかでも、ボクが好きなのはイギリス英語。耳に響く音が本当に綺麗で、フランス語にも負けていないと思う。アメリカ英語に比べて慣れるまで聞き取りにくいけれど、なじんでくると独特のリズム感に心地よさを感じる。
そんな絶妙なイギリス英語の会話を堪能できる映画がある。
『SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁』(原題:Sherlock:The Abominable Bride)という2016年のイギリス映画。写真のベネディクト・カンバーバッチとマーティン・フリーマンのイギリス俳優が主演している。
これはテレビドラマのスピンオフ映画で、2010年にドラマがスタートして、いまでも続いているらしい。シャーロック・ホームズとジョン・ワトソンの活躍を描くドラマなんだけれど、なんと現代劇とのこと。
だからこの映画も、最初はそのドラマについて触れている。そして21世紀のホームズが、昏睡状態で1895年の世界の人間になって事件を解決する。つまり現代が舞台だったドラマが、本来のシャーロック・ホームズの時代に戻ったということ。
ただ人間関係がドラマを踏襲しているので、ドラマを見ていないボクのような人にはわかりづらい。でも知っている人にとっては、かなり面白い作品になっていると想像できる。人間関係がそのまま19世紀に移行しているんだからね。
1895年のロンドンで、死んだはずの花嫁がよみがえって次々と殺人事件を起こす。多くの目撃証言によって、それが銃を乱射して自殺した女性だとわかる。警察は怯えて捜査にしり込みすることで、ホームズが活躍することになる。
ただしそのトリックはかなりシンプル。ちょっと拍子抜けするくらい。この時代の女性は今よりさらに抑圧されていた。男性の横暴に耐えきれなくなった女性たちが密かに集まり、この事件を起こしていたというオチ。
だけどその女性の集団が三角の頭巾を被り、まるでKKKのようだったことに違和感があった。かえって女性蔑視を助長しているような気がして、あの演出はどうかなと思う。
だけどボクは主演の二人の大ファン。ベネディクト・カンバーバッチの俳優としての実力は説明するまでもないし、マーティン・フリーマンも『ホビット』シリーズで主演俳優の実力を証明している。ボクは『ラブ・アクチュアリー』のマーティンも大好きだけれど。
とにかくこの二人の会話が最高、完全に漫才のパターンになっていて、ボケとツッコミが素晴らしい。そんな絶妙なやり取りが、イギリス英語に乗ってポンポンと交わされる。事件のトリックはイマイチでも、この二人の会話を鑑賞できるだけでも価値のある作品だった。
この雰囲気だったら、きっと現代劇のドラマも面白いだろうと思う。ちょっと観たくなってきたなぁ。
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