ドラマの世界から離れてきた
ドラマや映画の世界観が気に入ったとき、ボクは原作を読むことが多い。もちろんその逆もある。それらのちがいに着目することで、その物語がより深く理解できるから。ところが困った原作に出会った。最初に観たドラマのイメージからどんどん離れていく。
いや、原作のほうがはるか昔に存在していたので、ドラマが大きく設定を変えたことになる。とにかく困惑するほどの距離感が出てきた。
2022年 読書#33
『ファウンデーションの誕生』上巻 アイザック・アシモフ著という小説。AppleTVで『ファウンデーション』というSFドラマを観て、その世界観が気に入った。それで関連本からスタートして、『ファウンデーション』シリーズの2作目に突入した。
主人公は、ドラマも原作もハリ・セルダンという数学者。心理歴史学の創設者で、数学的手法によって宇宙を支配するトランターという帝国の滅亡を予言してしまう。それによって帝国の支配から脱しようとする集団と帝国との戦いが描かれている。
原作の1作目では、青年の雰囲気が残るハリ・セルダンが登場する。心理歴史学はまだ理論でしかなく、この2作目でセルダンは中年になったというのに完成しそうな気配がない。それでも予言できる数学ということで、彼を味方に取り込もうとあらゆる勢力が接触してくる。
1作目でもっとも驚いたのが、皇帝の宰相であるアンドロイドのデマーゼルが、女性ではなく原作では男性だったということ。さらにセルダンが武術の達人だったりという驚きもあった。
ところが2作目にはさらに驚く。アンドロイドのデマーゼルが引退して、トランター帝国の首相にセルダンが任命されている。もうマジでびっくりした。さらに1作目で行動を共にしたドースという歴史学者と結婚して、保護したレイチという少年を養子にしていた。ドラマのセルダンが妻帯者だったという事実はシーズン1ではまったく触れていない。
心理歴史学の研究を進めつつも、セルダンは首相としてトランターのために奔走する。息子のレイチをスパイとして反政府勢力に潜入させたりもしている。それでどうにか危機を切り抜けてきたけれど、上巻のラストで驚くようなことが起きる。
皇帝のクレオンを退け、新しい皇帝に就こうとしている人物がいた。その集団によってセルダンは殺されかける。潜入していたレイチにも危険が迫ったけれど、同じく組織に潜入していた公安の女性エージェントによって命を救われる。
ところがなんと初代皇帝のクレオンが暗殺されてしまった! えっ、えっ、どうするの?
ドラマでは初代皇帝クレオンのクローンが作られ、トランター帝国を支配してきた。なのに初代クレオンはバラバラにされてしまった。もしかしてここからクローンという展開になるんだろうか? とにかくドラマとはまったく別の物語にしか感じられないほどの距離感が出てきた。
ところが圧倒的に原作のほうが面白い。こうなったらドラマのことは忘れて、アシモフのSF世界へ没頭するべきなのかも。ということで早急に下巻を読もう。このシリーズのゴールはまだまだずっと先だからね。
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