従軍慰安婦の真実を求めた小説
悪意ある誰かによってデマは意図的に拡散される。個人的な誹謗中傷にあたるデマでさえ社会問題なのに、それが国家レベルになると国際的に看過できないトラブルを引き起こしてしまう。
つい先日に明らかになったデマがある。太平洋戦争において、日本軍が韓国人を強制連行した証拠だとして使われていた映像がある。日本のNHKで昭和30年に軍艦島における炭鉱の様子が番組で取り上げられた。韓国のメディアはそれこそが戦時中の強制労働の証拠だとして世界に拡散した。
NHKはその映像を韓国の公営放送であるKBSに提供し、日本軍の戦争犯罪の証拠として、複数の韓国メディアによって無断で使用されてきた。ところがその映像が、放送時の昭和30年のものであることをNHKが公式に確認した。つまり戦後10年経過してからの映像を、韓国は戦争中の蛮行として世界中に配信していたことになる。
この場で強制連行の事実を議論する気はない。問題とするべきは、デマが国家規模で世界中に配信されていたということ。韓国がらみでこれと同じようなことが起きている。それは日本軍が朝鮮人の女性を従軍慰安婦として強制連行したというもの。
これはすでに悪質な嘘であったと証明されている。信じていない人はまだ多いけれどね。朝日新聞はネタ元の人物がデマだと認めていたのに、さも事実であったかのような報道を続けていた。そして国会で追及されたことで、ようやく2014年になって嘘をついたことを謝罪している。本当に酷いメディア。
従軍慰安婦がいなかったということじゃない。問題なのは無理やり日本政府が朝鮮人の女性を連行したという嘘。まだそれでも強制連行が嘘だと信じられない人は、せめてこの小説を読んでほしい。フィクションであるけれど、本気で真実に向き合う気持ちになると思う。
2023年 読書#61
『トッケイは七度鳴く』宮内見 著という小説、本当に素晴らしい物語で、ボクは心の底から感動した。放送作家の水車誠太郎が主人公。ある日彼は、祖父が残した手記を見つける。祖父は太平洋戦争中にビルマ、今のミャンマーで従軍していた。
部隊のほとんどが戦死した激戦地で、祖父はどうにか生き残って帰ってきた。祖父がその戦場で生き残ることができたのは、現地で知り合った恋人がいたから。それは夏子という名前で、韓国人の従軍慰安婦だった。
祖父と夏子の純粋な恋が、この物語の中核をなしている。誠太郎は祖父の手記を調べながら、慰安婦問題捏造の事実を知っていく。それはある国の政府組織、日本の革新系の政党、そしてそれに協力するメディアによって拡散された嘘だった。
この小説の内容を書いても信じない人は無視するだろう。例えば慰安婦の収入が兵士以上だったとか、日本軍基地の運動会に一緒に参加していたという記述を見ても、フィクションだと笑い飛ばしてしまうかも。でもこの小説では、貧しさゆえ身売りした人はあっても、無理やり連行された慰安婦は登場しない。
夏子も実家が貧しくて身売りされた。だけど彼女を騙してビルマに連れてきたのは、同じ韓国の売春宿の経営者だった。むしろ祖父はそんな経営者に憤慨して、夏子たち慰安婦を酷い環境から助け出している。これは誠太郎の祖父だけでなく、慰安婦たちを助けるために他の戦友たちも協力していた。
フィクションではあるけれど、慰安婦問題について著者が大勢の人に知ってもらいたい事実が網羅されている。そんな著者の強い気持ちが伝わってくる素晴らしい物語だった。
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