ガリレオの真実にビックリ!
図書館の本をメインで読書していると、時代の流れに遅れて作品に触れることが多い。特にシリーズ作は人気で、出版直後に予約しても年単位で待つことがある。
ある有名なシリーズの最新作を読んだ。欠かさず読んでいる作品なんだけれど、最新作の初版は2021年の9月。つまり2年近くなってようやく手にできた。そして、そして、衝撃の真実にビックリした。初版当時に読んだ人たちからすれば、今さらなんだけれどねwww
2023年 読書#58
『透明な螺旋』東野圭吾 著という小説。そのシリーズとは「ガリレオシリーズ」。前作で教授になった物理学者の湯川学が難事件を解決するミステリーシリーズ。この作品で第10作目となるけれど、キャッチコピーが「今、明かされる『ガリレオの真実』」というもの。
まさにそのキャッチコピーどおり、その真実にかなり驚いた。ラスト近くでそれが明かされるけれど、そこは東野圭吾さん。読者に悟られない展開になっているので、事実を知ったときにマジで混乱してしまった。
ガリレオこと湯川学というキャラは、すでにいくつも映像化されている。そしてガリレオを演じるのは福山雅治さんと決まっている。だからボクはこのシリーズを読むと、どうしても福山雅治さんしか頭に浮かばない。
とにかく時間を忘れて読んでしまう面白い小説だった。ただボクのように図書館の予約待ちでまだ読んでいない人は、この先を読まないほうがいいかも。なぜボクが驚いたかを説明するには、ネタバレが避けられないから。
ということでここからネタバレ。
今回のテーマは、自分産んだ子供を経済的な理由等で育てられなかった女性の苦悩。ある女性が妊娠中に夫が急死した。実家とは縁を切っているので育てることができない。そこでその女性は泣く泣く子供を児童養護施設に置き去りにした。
それから何十年も経った現代。上辻という男性が銃殺された。もちろん事件を追っているのは湯川の親友である警視庁の草彅と、部下の女性刑事である内海。この二人は絶対に外させないレギュラーキャラ。
できるだけネタバレしないように結論だけ書こう。上辻を殺したのは最初に書いた自分の子供を捨てた女性。すでに老人となっているけれど、銀座のクラブを経営する根岸という名のママだった。上辻はDV男で、このままでは同居する女性を殺しかねない。そしてその女性は根岸の孫娘だった。実の娘はすでに他界しているけれど、せめて孫娘は守りたい。それで根岸は上辻を殺したというのが事件の真相。
だけどそんな簡単な物語じゃない。実は上辻の同棲相手の女性と根岸に血縁はなかったというオチ。このあたりは著者によって巧妙に仕掛けられているので、答えを知ったときにかなりショック。だけどそんな驚きは序の口だった。
DVで殺されそうだった女性を警察から隠して守っていたのは、松永奈江という絵本作家。刑事の草彅は、その作家がガリレオと過去に著作関連で面識があることを知った。それでガリレオに松永の行方を探るように依頼する。
だけどガリレオこと湯川は、認知症の母の看病で忙しい。それでも松永という名前を聞いて協力することにした。それどころか、ガリレオは松永が女性を匿うことに警察に内緒で協力することになった。それは根岸が真犯人だと推理したから。それで逃亡している女性を守るために協力していた。
だけどなぜ松永という絵本作家に、湯川はそこまで協力したのか?
その答えにびっくり。なんとガリレオこと湯川は養子だった。そして実の母親が、その絵本作家の松永奈江だった。いやぁ、これには本当に驚いた。湯川が認知症の母を献身的に介護しているから、まさか実の母親が別にいたとは考えなかった。つまりこの物語は、子供を育てられなかった二人の女性に焦点を当てている。
一人は殺人犯の根岸。そしてもう一人はガリレオの母の松永。
その対比が見事に描かれていて、最後まで夢中になってページを繰った。いやぁ、いつもながら東野圭吾さんは本当にすごい。長期間待った甲斐のある作品だった。
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