都市の温度を下げる樹木の効果
今月の勤労感謝の日が来れば、ボクと妻、そしてミューナの3人が京都から神戸へ引っ越して満16年となる。3人とも生まれは京都だけれど、今やすっかり神戸人として生きている。NHKの朝ドラの『おむすび』も次回から神戸に舞台が移るので楽しみにしている。
京都から神戸に引っ越して感じたのは、相対的に緑が多いこと。京都市内は山に囲まれているので、割合に緑が目につく。でも街の中心部に関して言えば、神戸の方が圧倒的に緑が多い。神戸の地形は海と山に挟まれた環境なので、より緑を真近に感じるのだろう。
でもそれだけではなく、積極的に街路樹等が整備されていると思う。神戸三宮のフラワー通りに象徴されるように、樹木だけでなく季節の花も街の通りを彩っている。そんな街の樹木は、もはや亜熱帯となった日本にとって欠かせないものになっている。
街の街路樹が、都市全体の気温をどれだけ下げられるかについて研究されている。リンク先の記事はその結果をまとめたもの。樹木は地中の水分を吸い上げ、葉から水分を大気に放つ。そうして水分が蒸発する際、大量の熱が吸収されていくそう。まさに天然のエアコン。
もちろん木陰による影響も大きい。ただこれまで都市部における樹木が気温を下げる効果は、感覚的なものとして知られていただけ。そこで樹木による気温低下の具体的な数値が、ニューヨークと中国の共同研究チームによって検証された。対象となった地域は中国の北京と深圳、アメリカのボルチモアとサクラメントの4都市。
その都市によって気候が異なるので、当然ながら出てくる数値はケースバイケースになるはず。それでも調査方法を確立することで、都市ごとによる街路樹整備の具体的な計画を立てることができると見られている。リンク先の記事から結果を抜粋してみよう。対象となった都市を小さなマスに区画して、そのマス単位での効果が検証された。
『北京では、1マスの樹木が1%増えると気温が0.06度下がったが、北京全体となると0.18度涼しくなっていた』
たった1マスの樹木が1%増えるだけで、北京全体に冷却効果が現れている。こうしたデータを集めることで都市計画が具体的になってくる。
『例えば、ボルチモアなら木の面積を1%増やせば、0.23度涼しくなると予測される。もしも1.5度涼しくするなら、木の面積を6.39%増やせばいい』とのこと。
都市全体の気温をどれだけ下げるかという目標を定めることで、樹木の面積をどれだけ増やせばいいか計算できるようになる。これからの日本は毎年酷暑となることを前提にするべき。
それゆえ都市計画を策定する際、住民の利便性だけではなく気温を下げることも検討するべきだと思う。この記事のような考え方が各自治体で一般化していくようになればいいなと思う。
ブログの更新はFacebookページとX、並びにThreadsで告知しています。フォローしていただけるとうれしいです。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。
コメント (0件)
現在、この記事へのトラックバックは受け付けていません。
コメントする