イメージを払拭した爽快感
人間は勝手なイメージを他人に持つ。それが的を得ていることもあれば、そのことによって相手を縛りつけていることもあるだろう。だから与えられたイメージを吹き飛ばそうとしたら、自らそれを払拭していくしかない。
エド・シーランの新曲がまさにそれ。今月の12日にニューアルバムがリリースされる。それに先がけてシングル曲とビデオが順次公開されている。
そのなかで最新曲の『Blow』を聞いてぶったまげた。エド・シーランといえばライブでもアコースティックギター1本で演奏する。美しいメロディとアコースティックギターの音色が彼のイメージ。もちろんアップテンポの曲もあるけれど、やはり楽器は同じ。
ところがこの新曲は完璧なハードロック! エドがハードロックだよ〜〜〜! ボクの洋楽耳と洋楽脳は、ほぼハードロック細胞で構成されている。だから1週間ほど前にこの音源を耳にしたとき、しばらく興奮して眠れなかった。なんて素晴らしい曲なんだ!
今回のニューアルバムはコラボ曲ばかり。この『Biow』はブルーノ・マーズとクリス・ステイプルトンとコラボしている。そしてミュージック・ビデオが昨日になって公開された。映像はガールズバンドなので口パクだけれど、よく耳をすませばエドの声やブルーノの声を聞き分けられる。ディストーションのかかったギターを聞くだけで興奮するボクだから、もう楽しくて大変だった。とにかくすごいから、みんな見るべし!!!
そして同じく過去のイメージを大きく塗りかえられた本を読んだ。
『女官 明治宮中出仕の記』山川三千子 著という本。
著者の山川さんは明治42年から大正3年まで皇居で女官として仕えた方。初めて出仕されたのが18歳のときで、京都の華族である久世家の生まれなので、出仕当時は久世三千子さんだった。
明治天皇の女官として採用され、明治天皇が崩御されてからは奥さんの昭憲皇太后が亡くなるまでお仕えされた。その後に結婚されて山川姓になられている。
大正天皇から一夫一婦制が事実上維持されているので、まだ側室という制度が残っていた最後の時代だった。この本の表紙の写真は著者の世話役だった方で、大正天皇の生母だった人物。明治天皇ご夫妻には子供ができなかったから、華族出身である女官が皇室の後継ぎを産んでいる。
そういう意味では、近代国家になろうとする日本と江戸時代の日本が複雑に混ざり合っている時期だった。それだけにとても興味深く、内部の人でしか知ることのできないエピソードに目を奪われた。これは日本の文化史という観点からしても、とても貴重な資料になる書籍だと思う。
この本を読んで、明治天皇ご夫妻のむつまじい様子がありありと伝わってきた。子供ができないので側室がいた。だからといって生母が幅を利かせることはなく、一人の女官として真面目に仕えておられた。天皇ご夫妻も亡くなられるまで互いを尊敬されていたのがわかる。
女官たちとのやり取りを見ていても、明治天皇という方がとても心優しい人物だったことが伝わってきた。皇室や日本史に関心のある人だったなら、必読の内容だと思う。何より著者の記す文章がすごい。こんなこと書いていいの、とマジで驚くことばかり。
正式に依頼があったのに、なぜ大正天皇に仕えたかったかの理由もかなりショッキングな内容。皇居における幽霊のことも出てくるし、昭憲皇太后が亡くなる直前の昏睡状態における言葉にもびっくりした。30年後の太平洋戦争を予言していたとしか思えない。
紹介したいエピソードやトリビアが山ほどあるけれど、気になる人はこの本を手にするほうがいい。著者の文章に直接触れることで、タイムスリップするのは確実だからね。とにかくいままでのイメージが払拭されて、言葉にできない爽快感を覚えた本だった。
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