シフトする時代の目撃者
すっかり冬の気配です。いつもなら六甲山を眺めると美しい紅葉でため息が出るのですが、今年は山がどんよりしています。少し色づいているものの、この寒さで葉が散ってしまいそうな予感です。今年は紅葉する前に冬枯れしそうですね。
昨日の散歩中に撮影した秋っぽい花です。大掃除が終わったら布引の滝に紅葉見物に行く予定をしていました。でもこれだけ寒くなると屋外でお弁当を食べるのが辛くなります。今年は見送りになりそうです。
でも大掃除が終了したので、早速時間を有効活用しています。仕事をしつつも、読書したり、映画を観ています。これも大切な勉強ですからね。
今日観たのは大掃除中に録画していて、掃除終了時の楽しみにしていた映画です。過去に観たことはあるのですが、久しぶりにじっくりと鑑賞しました。
『壬生義士伝』という2003年の日本映画です。
初めて観た時、構成のうまさに感激したのを憶えています。幕末の新撰組を描いた作品なのですが、明治32年から物語がスタートします。佐藤浩市さん演じる年老いた斎藤一が、発熱した孫を連れて小さな病院に駆け込むシーンから始まります。斎藤といえば新撰組の幹部で、剣の達人として恐れられた人物です。
若い夫婦が開業している病院は、満州に移住するため引っ越しの準備中。斎藤はそこである写真を見つけます。それは中井貴一演じる吉村貫一郎という新撰組の隊士の写真でした。斎藤が最も憎んだ人物です。そこから回想録としてドラマが始まります。これがいいのですよね〜！
幕末の動乱に巻き込まれた、この二人の生き様が映画の主題です。ストーリーは割愛しますが、素晴らしい映画です。特に最後は泣きますね。最後まで姿を見せなかった医者の妻がラストで登場します。その瞬間の斎藤の顔が忘れられません。今思い出しても涙が出てきます。
中井貴一さんと佐藤浩市さんの演技は秀逸です。俳優として実力の高いお二人ですが、この二人のやり取りは何度見ても飽きません。上手いなぁ、とつくづく見惚れてしまいます。私の好きな邦画のリストに挙げられている作品です。
この明治30年頃と言うのは、本当にこの斎藤のような方が大勢おられたのだと思います。自分が武士だったり、武士を見知っていた方が生きておられた時代です。幕末から明治ほど、世界が変貌した時代は珍しいでしょう。衣食住の全てが激変しています。大きくシフトした時代を目の当たりにされてきた目撃者が大勢おられたことだと思います。
そういえば現在の大河ドラマも、朝の連続ドラマも、舞台は明治ですね。幕末から明治にかけては、この映画のようなドラマがいくつもあったでしょう。
私は思います。
もしかしたら今の時代も、その時代に匹敵するような大きなシフトを経験している時代ではないか、と。そんな気がするのです。
ですから私たちも、シフトする時代の目撃者かもしれません。でも今の時代を生きている私たち当事者は、目撃者だということが理解できないでしょう。そんなものです。未来の人たちが私たちの時代を振り返った時、シフトの目撃者だと思ってくれるのかもしれませんね。
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