今日のウィルバーくん 6.10
重要で大切なことは、何度も繰り返し学ぶことが肝心です。なぜなら一度耳にしても、たいていはすぐに忘れてしまうからです。そして再び同じことで悩み、壁にぶつかり、救いを求めて同じ教訓を耳にすることになります。
ウィルバーもそのことをよく理解しているようで、同じ著書でも、違う著作でも、重要な内容が形を変えて記されています。そんな文章を紹介しましょう。以前にこのカテゴリーでも何度も触れている内容ですが、初めて接する気持ちで読んでいただけたらと思います。
〜以下抜粋。
精神的な悟りを得たいという欲望そのものは、実際にはエゴの、いつも何かを獲得していたい、という傾向性そのものにほかならない。したがって、悟りを求めようとすることそのものが、悟りを阻むことになる。完全なる修行というものは、悟りを求めようとすることにはない。むしろ、その動機の根源を尋ねることにある。
あなたは明らかに「今」というものを回避しようとしている。しかし「今」そのものが答えを握っているのである。永遠に求め続けてるということは、永遠にポイントを逃すことになる。あなたは、常に、すでに悟っているのである。したがって、「スピリット」を求めるということは、「スピリット」を否定することでしかない。自分の肺や、自分の足を求めていることと同じであり、ほかに「スピリット」を求めることはできない。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『ワン・テイスト』より。
意味を読み取れば、何度も語られている内容だと理解できるはずです。
『ゴールを設定してそれを求めることは、永遠にゴールに到達できない』という矛盾について書かれたものです。
私たちは子供の頃から、目標を定め、それに向かって努力することを、親や教師から教え込まれます。そしてそれを達成することこそが、人生における成功であると信じさせられます。
でも決してそれは否定するべきことではありません。モチベーションを維持するために有効ですし、意味のないことでも、間違っていることでもないと思います。だからこそ厄介なのです。
エゴの思いを充足させることに関しては、とても素晴らしい手法です。思いどおりに達成できれば、他人より素晴らしいという自尊心を満たすことができます。そして成功体験により、さらに同じ道を進もうとします。常に自分に無いものを意識し、積極的にそれを求めていく人生です。
しかし、ゴールを定めることで自分の意識にもたらされるものがあります。何だと思いますか?
それは「今』の自分に、何が『足りない』かを刷り込むことです。大金持ちになりたいと目標を定めることは、自分が貧乏であることを認めることになります。本当にそうであるなら問題ありません。その目標に向かって突き進めばいいでしょう。
ところがすでに持っているものを、持っていないと錯覚していたら?
持っているものを、新たに持つことはできません。どれだけ探しても見つかりません。だってすでに持っているのですから。それなのに持っていないと錯覚すれば、永遠に探し続けることになります。
精神的な悟りとは、エゴが死ぬことで本来あったものに気づくことです。しかしゴールを設定して達成するというエゴのゲームを続けている限り、エゴが肥大化するだけです。自分は持っていない、何かが足りない、誰かに教えてもらう必要がある、と思い込み、本当は手にしているものを探し続けます。その矛盾にはまり込んでしまうと、抜け出すことが困難になります。私たち人間が陥っているのは、まさにそんな状況だと思います。
ウィルバーの著作を読んでいると、彼が最も伝えたいことはこの矛盾についてではないか、と感じます。でももしかすると、私がその矛盾に陥っているので、それが目につくのかもしれませんね。
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