SOLA TODAY Vol.590
常識として刷り込まれたことは、習慣化して生活の一部になってしまう。そうなると疑うこともせず、それが正しいと思い込んで行動する。
ところがその常識を真っ向から否定されると、受け入れるのに苦痛を伴うことになるだろう。
まさにそんな苦痛を感じる人が続出しているのでは? という研究結果が発表されている。
この見出しを読んだだけで、愕然としている人が多いのではないだろうか? デトックスを意識して、せっせとサウナに通っても無駄だということらしい。
確証があるわけじゃないのに、子供のころからよく言われてきた。汗をかいて毒素を出しなさい、というのが正しいことだと思ってきた。だけど専門家によると、これは単なる都市伝説にしか過ぎないとのこと。
人間が汗をかくのは、あくまでも体温調節のため。老廃物や有害物質を排出する役目を負っているのは腎臓と肝臓。汗の成分は、ほとんどが水とミネラルだけらしい。だから汗をかく夏は、ミネラル補給のほうが大切になってくる。
汗のなかに、まったく毒物が存在しないわけじゃないらしい。種々の有害物質も含まれている。だけど体内に取り入れた有害物質のうち、汗によって排出されるのは0.02%だけ。めちゃめちゃ運動したりサウナに入っても、せいぜい0.04%くらい。
この程度で、デトックスになるわけないよね! 汗をかくのは気持ちがいいけれど、それ以上のことを望むことはやめたほうがよさそうだ。
それなのに発汗デトックス産業は、そんな事実を無視している。汗をかいて毒素を出そう、と不安を抱えている人たちに呼びかけて収益をあげている。そんな宣伝文句を盲信したことによって、カナダでは35歳の女性が熱中症で亡くなっている。だって汗をかけば、ガンも予防できるとうたっているんだからね。
他にも同じようなものがあると思う。特に食や健康に関することは、このような都市伝説が多いだろう。最終的に何を信じるかは、その人次第であることは事実。宗教と同じようなものだから、他人がどれだけ言っても考えを変えさせるのは難しいと思う。
常識なんて、いつひっくり返るかわからない。そのことだけは、肝に命じておきたいと感じた記事だった。
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