悪夢は人生のシミュレーション
誰でも悪夢を見る。人によって恐怖の対象はちがうだろうけれど、明晰夢でなければ恐ろしい体験になる。
ボクがよく見る悪夢はテロの場面。にぎやかな繁華街を歩いているとき、緊張の波が人を通じて伝わってくる。立ち止まって騒ぎの渦の中心に目を向けると、乾いた銃声と同時に武装した数人の男が見える。そして次々と周囲の人を撃ち殺しているという夢。
とにかく必死で逃げる。夢だと気づいていないから、リアルな恐怖を全身で感じている。本当に身体が震えるし、何をどうしていいのかわからない。ただ走り続ける。そしてたいていはテロリストに見つかって、銃口を向けられてしまう。
なぜこんな悪夢を見るのだろう? 夢についてはわからないことが多いらしい。研究者によって様々な見解が出ているけれど、夢の役割そのものに未知数が多い。そんななか、悪夢について貴重な研究結果が出ている。
興味深い内容。決定的ではないけれど、人間が悪夢を見る理由の一端が解明されたように思う。
くわしくはリンク先の記事にゆずるけれど、人間が悪夢を見ているとき、脳は現実の出来事と同じような反応をしているらしい。恐怖を体験するのと同じ場所が、悪夢を見ているときに活性化している。
肉体は現実的に危機にさらされていないのに、夢の出来事で同じ状況になっているということ。これはある意味VRのようなものであり、限りなく真実に近い仮想体験なんだろう。
その目的は想像できる。現実世界で恐怖に直面したときにそなえるために、悪夢によってシミュレーションをしているような気がする。そして今年の11月に発表された研究結果によって、そのことが裏付けられた。
悪夢を見た人に追跡調査をした結果、ネガティブな写真を見せても恐怖を感じる脳の部分が落ち着きを見せていた。おそらく恐怖に対する耐性が高まっているということらしい。悪夢というシミュレーションの結果だとしか思えないとのこと。
「夢は、将来の反応のための訓練であり、私たちが現実で危機に直面した時の準備をしてくれている可能性があります」と研究者は述べている。
ボクがテロの悪夢を見るのは、そうした状況を恐れているということなんだろう。もしそんな状況に接したときに冷静に対処できるため、夢のなかでトレーニングを積んでいるのかもしれない。
いやいや、それは予知夢かもしれない、という人もいるだろう。そのことは否定していないけれど、この研究結果のほうが強い説得力を持っている。夢の役割のひとつとして、現実世界における適応力を高める効果があるのかもしれないね。
夢についてさらに思うところがあるので、夕方のブログで書いてみよう。
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