在宅勤務の未来は厳しい
6月に入って、緊急事態宣言以前の雰囲気に戻りつつある。経済活動が再開されたことで、少しずつ街の緊張感が緩和してきたように思う。そう感じるのは、関西で新型コロナウイルスの新規感染者がほとんど出ていないせいもあるだろう。
ただ緊急事態宣言を経験したことで、大勢の人が新しい世界を経験してしまった。なかでも大きな意識改革をもたらしたのが在宅勤務。会社に出勤しなくても、職種によっては仕事が回ることがわかった。会議や出張だって、リモートで可能だと実感できた。
一度この感覚を知ってしまって、再びあと戻りできるだろうか?
どうやらそう感じている人は多く、これから先も在宅勤務の継続を求める声が出ているそう。その要求に対して、会社は出社を強制できるかについて書かれた記事がある。
日経新聞の記事。結論から言えば、現状の法律では経営者が出社を求めた場合、それを拒否するのは難しいとのこと。労働者は労働提供義務を負っており、そこには定められた就業場所で勤務する義務も定められている。つまり正当な理由がない限り拒否権はない。
その正当な理由というのが、今回の新型コロナウイルスだろう。だから会社が、政府や自治体の出しているウイルスの関する指針を守って感染対策をとっている場合、緊急事態宣言が解除されている現状では出社命令を拒むことはできない。
極端なことを言えば、解雇の対象となるそう。もちろん解雇権の乱用となるような無茶なことはできないけれど、出社拒否に対する懲罰を経営者は行使することができる。
ただしやっかいなのが、勤務中に新型コロナウイルスに感染した場合、原則として労災認定されることを厚生労働省は発表している。企業としては社員の安全確保が義務付けられているということ。
こうなってくるとややこしいよね。同じ会社でも、絶対に在宅勤務ができない職種もある。大企業になればなるほどそうだろう。社員の不公平感を刺激しないよう、バランスのある勤務体系を考慮しなければいけない。こうなってくると、「在宅勤務なんてやめてしまえ〜」という経営者の声が聞こえてきそうwww
新型コロナウイルスは、不要となった企業の慣習を吹き飛ばす絶好のチャンスを提供してくれた。ここでその流れに乗った企業は、新しい世界観を構築していけるだろうと思う。
だけどほとんどの企業は、元の状態に戻ってしまうだけのような気がする。そして第二波が来たとき、あわてて自宅待機を決定するのが精一杯。そして気がついたら、意識改革を進めた企業に追いつけないことになっていると思う。
在宅勤務ということに関して、その未来はかなり厳しい。多くの企業が抜本的な対策を取れず、ドイツのように在宅勤務が法制化されることもないだろう。そういう意味で在宅勤務を含めたこれからの対応は、生き残っていける企業の試金石となるような気がするなぁ。
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