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高羽そらさんインタビュー

地獄を呼ぶ命の分断線

ALSの患者を安楽死させたとして、二人の医師が逮捕された。以前から議論されてきたことではあるけれど、今回の逮捕によって安楽死についてネットで様々な意見が飛び交っている。

 

ボクもそうした意見を咀嚼しながら、ここ数日は様々なことを考えていた。問題となるのは安楽死と殺人の境界線だろう。対象となる人によって事情はちがうし、生きてきた環境や宗教観、あるいは死生観も異なる。だから誰もが納得できる線引きができない。

 

なぜならそれは『いのちの分断線」だから。

 

線を引いてしまうことで、他人の命のあり方を決めてしまう。でも社会がその線引きを必要としているのも事実。『いのちの分断線』は治癒の見込みがない病気だけが対象ではない。例えば法律に基づいて死刑を宣告することも、『いのちの分断線』を行使していることになる。

 

その線引きが個人の偏見によって揺るぎないものとなったとき、待っているのは地獄でしかない。

 

植松死刑囚が私に語った「自分は〈役に立つ人間〉ではありませんでした」の意味

 

2016年に恐ろしい事件が起きた。『津久井やまゆり園』という障害者福祉施設で、19人もの人が殺害された。その事件の犯人である植松死刑囚にインタビューした記事。なぜこんなことが起きたのかについて、リンク先の記事は恐ろしい事実を語っている。

 

犯人にとって『いのちの分断線』は、役に立つ人間であるかどうかだった。そしてその線引きが彼自身にも向けられることで、もしかしたら自分は役に立たない人間なのではないか、という恐怖に囚われていた。

 

それゆえ彼は犯行に及んだ。役に立たない人間をこの世から消すことで、自分は価値のあることをできたという確信が持てるから。だから逮捕されたとき、自分は社会に貢献したことで多額の報酬を受け取る権利があると本気で思っていたとのこと。

 

これは決して人ごとじゃない。ここまで極端じゃないとしても、成人になれば自分なりの『いのちの分断線』を持っていると思う。そしてその線引きに従って、無意識に他人のいのち裁いている可能性がある。こんなやつは生きている価値がない、と心のなかで思うことはあるはず。

 

その判断を弱者に向けると非難されるけれど、犯罪者に向けたら同意が返ってくる。だけど『いのちの分断線』を行使していることに関しては、両者の本質は同じだと思う。ボクだって普段は意識していないけれど、自分なりに『いのちの分断線』を持っているだろう。

 

そんなボクにも理想論はある。それは社会全体が『いのちの分断線』など存在しないことを確信できること。植物や動物、さらに土や水を含めた自然に存在するもののすべては必要だからそこにある、と確信できること。

 

何かを生み出すことに価値があるのではなく、存在そのものに意味があるということ。だから自殺してはいけないし、他人の命を奪ってはいけない。なぜならその命は絶対に必要だからこそ、いまここに存在しているんだから。

 

この理想論についてはこのへんにしておこう。本が1冊書けるほどの内容だから、中途半端に理屈を振りかざすと誤解が暴走することになる。運命論にも関わってくることなので、殺人を肯定するための根拠に化けてしまう恐れがあるからね。

 

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高羽そら|たかはそら(作家、小説家)プロフィール

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高羽そら(たかはそら)
今後の目標:毎年1つの物語を完成させたいと思います。
生年月日:昭和37年5月10日
血液型:A型
出身地:京都市

【経歴】
1962年京都市生まれ。数年前に生活の拠点を神戸に移してから、体外離脱を経験するようになる。『夢で会える 体外離脱入門』(ハート出版)を2012年1月に出版。『ゼロの物語Ⅰ〜出会い〜』、『ゼロの物語Ⅱ〜7本の剣の守り手〜』、『ゼロの物語Ⅲ〜次元上昇〜』の3部作を、2013年7月〜12月にかけて、オフィスニグンニイバよりAmazonのKindleにて出版。現在も新たな物語を執筆中。

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