法律改正には被害者が必要?
法律改正というのは、被害者あるいは犠牲者の命が失われてようやく進むことが多い。ボクは20代のころ、父親が経営する消防設備の法定点検を代行する会社に勤めていた。その関連で消防設備士の資格を持っているけれど、その勉強や消防署員の人たちからの話でそうした事例が頭に残っている。
火災に関していえば、昭和47年に大阪の千日デパート火災がそう。死者が118人も出た恐ろしい火災によって、それまでの消防法が改正されている。さらに昭和55年、栃木の川治プリンスホテルの火災で45人が亡くなり、昭和57年に東京のホテルニュージャパンの火災で33人が亡くなったことで、かなり大幅な法律改正が実施されている。
これだけの命が失われないと、法律は変わらない。ストーカーに関する法律なんかもそうだよね。そしてなじみ深い道路交通法も、同様の性質を持っている。ボクはある記事を見てマジで驚いてしまった。
あまりに危険 ! ノーヘル、右折OKとなった電動キックボードの車道走行は禁止すべき
まだ特例措置の段階だけれど、電動キックボードに関して今年の4月に法律が定められた。これは電動キックボードのシェアサービスを展開したい4社の意向を受けて、実証実験ということで東京、大阪、福岡等でスタートしている。
電動キックボードに関して、従来は原動機付自転車に分類されていた。だから原付免許があれば乗ることができる。だけど今回の措置によって、小型特殊自動車の分類となった。だから原付免許しか持っていない人は乗れない。
小型特殊自動車というのはフォークリフトや除雪車なので、自動車の普通免許や二輪免許を持っている人ならキックボードに乗れる。それはいいとして、原付より厳しい分類となったことで、キックボードは公道を走ることができることになった。これがかなり怖い。
なぜならトラックやバスと並んで、普通に公道を走るということ。時速が15キロに制限されているので、見た目は安全そうに思える。だけどリンク先の記事の著者の体験によると、イライラしたトラックに追い抜かれたり、猛スピードですぐ横をママチャリが通り過ぎて行くようなことばかりだった。右折するときも、車と同じように右折レーンに入るなんて信じられない。
そのうえ小型特殊自動車扱いとなったことで、ヘルメットの着用は任意。キックボードの会社は大きな荷物を持つことも想定しないようで、これは死者が出るほど危険な状態だという感想を書かれている。
ヘルメット装着の任意に関しては、シェア会社による国交省への圧力があるような気がする。だってコロナ禍の時勢において、他人がかぶったヘルメットを着用するのは避けたい人が多いはず。そうなればシェアしてもらえる人が減るだろうからね。
このままだと絶対に死者が出るよ。ボクは高校時代に新聞配達のアルバイトをしていた。そのときは原付バイクで配達していて、ヘルメットは任意の時代だった。だからボクはかぶっていない。
だけど2〜3年新聞配達をしているだけで、店主に内緒にしているような事故は経験している。雪道や雨ですべって転倒することもあるし、車に数回はぶつかっている。幸いにも大きな怪我をしていないけれど、ヘルメットをせずに無事だったのは奇跡としかいいようがない。
昨日のブログでも自動車に関する法律について触れたけれど、犠牲者が出ないと法律改正されないんだろうな。電動キックボードを使う人も、自動車のハンドルを握っていて電動キックボードを見かけた人も、被害者にも加害者にもならないよう十分に注意したほうがいいと思う。
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