明治維新は仕組まれた洗脳
歴史の面白いところは、ほんの少し視点を変えるだけで、まったくちがう世界が見えてくるということ。少なくとも学校で習う日本史が絶対に正しいという発想は捨てたほうがいい。歴史の解釈は日々変容しているし、新しい発見によって過去のステレオタイプな事実が否定されることも多い。
日本史でボクが注目している時代はいくつかある。古い順でいけば、まずは飛鳥時代。天武天皇の息子である大津皇子に思い入れがあるので、この時代にはかなり興味を持っている。それ以降だと、武士が台頭してくる平家や源氏の時代。
武士政権の始まりである鎌倉幕府の崩壊から南北町時代。そんな武士政権が江戸幕府へと結実していく戦国時代。そして近代の夜明けと言われる幕末から明治維新の時代にも強く惹かれている。どの時代もちょっとしたことで、これまでの定説が覆る可能性を秘めている。
そんなボクの好きな時代について、新しい視点をもらえる本を読んだ。
2021年 読書#132
『明治維新という名の洗脳』苫米地英人 著という本。これまでの明治維新の固定観念を見直せる本だったと思う。切り口がなかなかいい。
幕末に詳しい人なら、幕府と薩長の背後についていた外国勢がわかるはず。あるいはNHKの『青天を衝け』を見ていた人も答えられるだろう。一般的には幕府を支援していたのはフランスで、薩長を応援していたのはイギリスだと言われている。
だけどその固定観念を、この書籍では吹き飛ばそうとしている。たしかに国家単位の支援という意味では、その図式にまちがいはない。だけどそれ以外の外国勢力がいたという内容。
その正体は国際金融を仕切っていた外資系銀行。この視点は意外だった。この本によると、幕末から明治にかけての内戦である戊辰戦争より以前に、イギリス等の外資系銀行は日本に支店を置いている。つまり彼らが戦争を望んでいたということの証明。彼らが強いのは現在の日本銀行のように通貨発行権を持っていること。ある意味政府と同じ影響力がある。
長州藩が攘夷を実行するために外国船を砲撃したとき、そのわずかあとに伊藤俊輔(伊藤博文)たちはイギリスに極秘留学している。普通は戦争相手国に留学に行くなんて考えられない。それは薩摩藩も同じ。留学費用を提供していたのが、その外資系銀行だということらしい。
戦争が始まると当事国の通貨は暴落する。だけど戦争費用は必要。つまりそこで外資系銀行が利益を上げるチャンスがある。暴落している戦争当時国の通貨に変わる貨幣で資金を融通できる。つまりイギリスの外資系銀行としては、イギリスと日本が戦争するのは歓迎だということ。むしろ裏で画策していた可能性が高い。
というような内容。この本によると明治政府を率いた政治家たちは、その外資系銀行に操られていたということになる。戦争は儲かる。だから戊辰戦争、西南戦争、さらに日清、日露という外国との戦争。それらの戦争を明治政府に決行させたのは、この外資系銀行の可能性があるという内容だった。
じっくり読んでいると、眉唾に思うこともあった。だけどおおむねとして納得できる記述だった。ボクの明治維新の関する知識に、新しい視点が加わったと思う。やっぱり歴史は面白いよなぁ。
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