性犯罪者は更生できる?
世間で起きる犯罪の要因は様々で、かつ複雑。貧困等の環境要因も大きいだろうし、国や地域の治安状態の悪化も犯罪の温床となりやすい。それでも刑務所に収監されたことをきっかけに、更生して普通の生活をされている人は多いだろうと思う。
でも再犯が絶えることはない。例えば貧困が原因で窃盗をした人が、刑務所を出たからといって裕福になるわけじゃない。景気が芳しくなければ、出所者が仕事を見つけるのは難しいだろう。だから再び盗みを働いてしまうことになる。ただこの事例なら、状況によって更生が成功する可能性も高い。
更生が困難だとされる犯罪に薬物関連がある。完全に薬と縁が切れているつもりでも、その人の脳は快楽を記憶している。だから薬物犯罪の再犯率はかなり高い。この場合は医師のサポートがないと難しいように思う。必要なのは更生よりも治療だろう。
そしてもうひとつ再犯率が高いとされているのは性犯罪。見識者によっては、薬物犯罪よりも更生が難しいと言われている。なぜなら人間の性癖をなかったことにするのが難しいから。食欲と同じで、性欲は人間の理性を混乱させる。だったっらどうすれば性犯罪者は更生できるのだろう?
その問題に対処するため、タイで新しい法案が承認された。
性犯罪者が化学的去勢に応じれば刑期が短縮される法案が承認される
タイでは出所した性犯罪者の3割が再犯するそう。それゆえこのような法案が承認された。つまり性犯罪は更生ではなく治療が必要だということ。まさに薬物犯罪の対応と同じ。
化学的去勢というのは、性ホルモンの働きを阻害する薬を錠剤か注射で投与し、男性ホルモンの生成を抑え、性欲を減退させる処置とのこと。性衝動を抑制することで再犯を防止しようという発想。
女性の被害者にすれば、いっそのこと二度と使えないように◯◯をちょん切って欲しいと思っているかも。実際にそこまでの声は出なくても、この程度では再犯を防げないという意見が多く出ているそう。なぜなら薬物の投与をやめたら、また男性ホルモンが復活するから。
リンク先の記事によると、この化学的去勢を実施している国は他にもある。イギリス、ポーランド、エストニア、ロシア、韓国、カザフスタンなどで行っているそう。知らなかった。アメリカも州によっては法律に化学的去勢の規定があるとのこと。
この問題の裾野は、思っているよりも広いと思う。犯罪者として逮捕されなくても、日常生活で性犯罪に近いことをしている男性はいるはず。例えば夫婦であっても、妻の同意なく性行為に及ぶのは犯罪。
相手の気持ちを無視して、性欲によって自分の意思を押し通すという行為は、すでに性犯罪者としての資質があるということ。そんな人はちょっとしたきっかけによって、一線を超えてしまうかもしれない。要するに性犯罪者予備軍は、ボクたちの想像以上に数が多い。それほど性癖というのは、根の深い問題を抱えている。
もし性犯罪が立証されたなら、化学的去勢ではなく、リアルに去勢されるという法律ができたらどうなるだろう? 多少の抑止効果はあるかもしれないけれど、それでも最終的に性癖が勝利しそうな気がする。これは本当にやっかいな問題だなぁ。
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