今日の言葉 1月16日
『徳には何の権威もない』
精神は権威から自由になれるのでしょうか? つまり、精神が恐怖から自由になり、それによってもはや追従しないでいられるようになることが? もしそうなることができれば、機械的なものになる模倣に終止符が打たれます。結局、徳とか倫理的行為とは、良きことを繰り返すことではありません。機械的になるやいやな、それは徳ではなくなってしまうのです。徳とは、謙虚さのように、一瞬一瞬存在するものです。謙虚さは養えるものではありません。そして謙虚さを全く持たない精神は、学ぶことができません。このようなわけで、特には何の権威もないのです。
法律は別として、神など、精神が道徳的であるとみなしている外面的権威は、精神が真の徳の何たるかを探求している時には、破壊的要因になります。また、私たちは自分の経験や知識を自分自身の権威と見なして、それに従おうとします。
謙虚さを養うことが絶対に不可能であるように、そして愛を養うことが絶対に不可能であるように、徳を養うことも不可能なのです。しかしそれには大いなる美があります。徳とは機械的なものではありません。そして徳がなければ、明晰に思考するための礎はどこにもないのです。
〜クリシュナムルティ著『四季の瞑想—クリシュナムルティの一日一話』より〜