今日のウィルバーくん 6.6
ワンネス意識を体感すると、人はどのようになるのでしょうか？
賢者たちの著書を読むと、見た目は何も変わらない、というのがその答えのようです。悟りを得ても、やっかいな出来事に見舞われたり、病気になったりします。誰かの言動や行動に怒りを感じることもあるようです。
でも何かが変わる。今までの人生と同じような見方ができなくなる。誰もがそう断言しています。そのことに関するウィルバーの言葉を見てみましょう。彼はワンネス意識のことを一味（ワンテイスト）と表現しています。
〜以下抜粋。
たとえ、初めはつかの間であれ「一味」をひとたび味わうと、まったく新しい動機があなたの存在の深みから立ち上がってくる。そしてあなたのすべての動きが呼吸する、常なる気となる。その気とは、慈悲である。ひとたび「一味」を味わえば、存在の根本的な問題は、あまりにも明白な光によって、雲散霧消してしまう。あなたは、心の深いところから、二度と同じ人になることはない。あなたは───とうとう、とても深く、しかも何よりもの願いとして───ほかのすべての人もまた、夢遊病の重荷をおろして、小さな切り離された自己の苦しみから、時間というこの拷問から、そして空間という残酷な悲劇から解放されることを願う。
いかなる、より小さな動機が現れても、たとえ怒り、恥、偏見などがあなたの行く道に現れても、かまわない。それは、まさにまだまだたくさん成長できることを教えてくれる。そして、そうしたものすべての周りに、あるいはその底流に、慈悲の鼓動が鳴り響いている。慈悲の常なる雲が、あなたの行く手に涙のような雨を降らす。そしてあなたは、言葉の最良の意味で、慈悲という、この容赦のない親方に使い回される。しかし、それは、はるかな昔、あなたが「すべての魂がこの永遠の海へ解き放たれるまで、自分は、この慈悲という動機に支配されますように」、というひそやかな約束をしたからである。
〜以上抜粋。ケン・ウィルバー著『ワン・テイスト』より。
とても文学的で心に響く文章ですが、自分が実際に一味（ワンテイスト）を味わってみなければ理解できないように思います。いまだに現実世界という夢遊病の重荷を背負い、小さな切り離された自己に苦しみ、時間という拷問や空間という残酷な悲劇から解放されていない私にとって、想像するしかない世界のような気がします。
でも明確に記されているのは、一味を味わうことによって、行動の動機が変化するということです。その動機とは「慈悲」です。自分のすべての言動や行動が、慈悲によって動機付けされる。そして自分に苦難が訪れても、それはさらに成長できる伸びしろだと理解できる。素晴らしい状態ですね。
「一味（ワンテイスト）を味わう」という文章を読んで、うどんにかける唐辛子の『一味』をイメージしてしまう私には、まだまだ遠い世界のような気がしま〜〜す！
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