SOLA TODAY Vol.253
先日の憲法記念日、安倍首相がようやく国会における改憲を明言した。具体的には2020年の施行を目指すとのこと。ここのところの世論調査も、改憲を後押ししているからだろう。
憲法改正は急ぐべきだと思う。70年前のものを後生大事に守っているほうが不自然。特に憲法第9条については子供が読んでもわかる矛盾が残されたままだから。
安倍首相が憲法第9条の第1項、第2項を残しつつ、自衛隊という文字を書き込むと宣言したのは、大きな前進だと思う。
だけどどうしても違和感が消えない。なんだろう?
気になってネットの記事を意識していると、その違和感が明確に解説されている記事を見つけた。
この記事を読んですぐに違和感の理由がわかった。自衛隊の文字を追加しただけじゃ、何も変わっていない。だからモヤモヤしていたんだ。
ちなみに憲法第9条の第1項と第2項を抜粋しておこう。
第1項
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
第2項
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
こうして書き出すと、矛盾点が明らかになる。第1項はとても大切。平和主義を唱ったもので、これは何があっても残すべきもの。
だけど問題になるのは第2項。これがあるから、自衛隊の扱いがあいまいになってきた。だから憲法第9条に自衛隊の文字を追加しても、この第2項が存在する限り、同じ矛盾が残ることになる。子供だってわかることだろう。
自衛隊の現状を見ると、世界でも誇れるほどの立派な戦力を持っている。だけど憲法では『保持しない』ことになっている。
戦争をしないということに関しては第1項で明言しているから、素晴らしい平和憲法だと思う。だけど第2項が存在することで、せっかくの平和を維持することが困難になりつつある。
最初にはっきり言っておくけれど、ボクは保守でも革新でもない。右でも左でもない。是々非々の立場。だから現状の問題に対処するために必要なことは、憲法改正であっても実行するべきだと考えている。
その基本にあるのは、二度と戦争を起こさないということ。それは先制攻撃をしないという意味だけじゃない。相手に攻撃させないということも含む。だけど今の憲法では、相手に攻撃させることを許してしまう。
ハリウッド映画を観ているとよく出でくるシーンがある。不法侵入者に対して銃を発砲しても、正当防衛を主張できる。だからうかつに他人の敷地に侵入できない。
でも日本人にはそういう意識が希薄だと思う。今の日本の憲法だと、自宅の敷地に明らかに侵入されているのに、直接的な危害を加えられるまでは何もしてはいけないことになる。
悪意を持って侵入してきた人間に対して、こちらも武器を持っているぞ、と威嚇することさえできない。そんなことをすれば侵入者を刺激するから、無抵抗でいなさい、非暴力でいなさい、と言われているようなもの。それってどう考えてもおかしいでしょう?
自分の家の敷地に変なやつが出入りしている形跡があれば、ボクは黙っていない。だって家族がいつ被害に逢うかもしれない。見つけたら即座に警告するし、従おうとしなければ適切な行動をとる。二度と敷地内に入る気持ちを持たせないようにする。
でも今の自衛隊の状況なら、警告することさえ十分にできない。だって相手はこちらから攻撃しないことを知っているから。様子を見ながら、余裕を持って対応できる。だからアメリカというガードマンに頼らざるを得ない。
もし沖縄から米軍基地が撤退すれば、自力で侵略者に対応できない。技術や武器はあるけれど、先に相手に攻撃されなければ使えないから。でも相手の最初の一撃で絶命したら、それらはなんの役にも立たない。
将来的に米軍が撤退するということを、視野に入れておくべき。そのためには憲法改正が絶対的に必要となる。特に第2項を見直すことは必然だと思う。それだけでも不法侵入を企むやからは、二の足を踏むだろう。
多大な努力と時間を費やして改憲を進めるのなら、憲法第9条が抱えている矛盾を解消してほしい。今のままでは、モヤモヤが消えない。
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