閉じた心を開く音楽の魔法
朝のブログで書いたとおり、今日の午前中に月始め恒例の排水口掃除を完了。汗びっしょりになったけれど、気分は爽快。お昼ご飯を作っていても、綺麗な流しを見ているだけで幸せな気分になる。
来月の始めに掃除をするときは、この酷暑は終わっているかな? ぜひ、そうであってほしい。
今日の午後には、岐阜県の多治見で40.2度を記録したとのこと。これは人間が普通に生きていける気温じゃない。神戸はそこまでいかないけれど、それでも息苦しいほどの暑さが続いている。とにかく水分と塩分を補給して、しっかり食べて、しっかり眠ることしかない。
だけどいつかこの暑さも終わる。どれだけ夏が踏ん張って粘りを見せても、9月の末には白旗をあげるしかないだろう。それまでこちらが白旗をあげるようなことにならないよう。きちんと自衛しなければね。
さて、そんな暑いなか、とても爽やかになる映画を観た。汗をかきながら観ていたけれど、映画のラストになってタオルで拭いているのは汗ではなく、止まらない感動の涙だった。
『アンコール!!』(原題:Song for Marion、米公開時英題:Unfinished Song)という2012年のイギリス映画。これはめちゃいい。まだ観たことがない人は、ぜひ観るべき。
主人公は72歳のアーサー。本当は心優しい人なんだけれど、人づきあいが苦手でいつもしかめっ面をしている。ひとり息子を愛しているのに、どうもうまくいかない。最愛の妻であるマリオンだけが、彼の理解者だった。
そんなマリオンは地域の老人が集まる公民館で合唱団に所属している。そのグループの名は『年金ズ』。普段の練習の成果を試すため、コンクールに参加することになる。だけどマリオンは余命宣告を受けていて、予選を通過しても本選で歌うことはできそうにない。
アーサーは心配のあまり、合唱に参加することをやめさせようとする。でもマリオンは歌うことが生きがいで、彼女を止めることはできなかった。そしてコンテスト前の無料コンサートで、マリオンはソロを担当する。その輝かしい妻の幸せそうな姿を見たアーサーは、感動すると同時に自分の無力さを感じる。
やがてマリオンは息を引き取る。アーサーは失意のあまり引きこもりになってしまう。そのことを心配したコーラスの指導者であるエリザベスという若い女性は、どうにかしてアーサーを合唱団に入れようとする。
マリオンをあれほど幸せにしていた音楽の魅力を体験したい。やがてそう思ったアーサーは、葛藤しながらも合唱団に参加する。そしてマリオンと同じように、ソロを受け持つことになる。
だけど、人生はそうスムーズにいかない。息子との確執を解消しようとしたアーサーは、息子に拒絶されたことで合唱団に所属する意味を見失ってしまう。やってもダメだと言い出して、チームから抜けてしまう。
さらに『年金ズ』は本選で、規格外だとして出場を取り消されてしまう。ラフな服装でロックやヒップホップの曲を歌うことに、審査員たちが反感を持ったから。
『年金ズ』の運命やいかに? そしてチームを抜けたアーサーは、そのまま孤独な人生を歩むのか?
ある程度予想はできるけれど、感動のラストが待っている。こうじゃないといけない、と素直に思えるラストだった。音楽が好きな人には、絶対に観てほしい作品。ひとりの老人が、自分の閉じた心を音楽の魔法によって開く瞬間を目撃することができる。
ぜひ、その感動の瞬間に立ち会ってほしい。そう思わせる作品だった。イギリス人俳優たちの、素晴らしい演技を堪能できる映画だよ。
『高羽そら作品リスト』を作りました。出版済みの作品を一覧していただけます。こちらからどうぞ。