SOLA TODAY Vol.945
誕生日が近いせいか、死に方について考えることが増えた。といっても自殺の方法じゃないよ。重い病気になったわけでもない。すこぶる元気。
死というのは肉体の機能が衰えて、やがて停止してしまうもの。でも老衰でぽっくりと死ねる人は少なく、大抵は病院のベッドで最後を迎える。あとは突発的な事故等による死だよね。
ハプニング的なことを除外した場合、イメージできるのは病院で死ぬこと。そして同時にホスピスという言葉が頭に浮かぶ。
プライベートなことなので書かないけれど、京都にいるころにホスピスに関わったことがある。10年以上も前のこと。だからある程度雰囲気は感じているし、自分のことに当てはめてみることもあった。ところが最近になって事情が変わっているらしい。
緩和ケア病棟から追い出される? ケアの現場に持ち込まれた「連帯責任制」
余命が1ヶ月だと宣告されてホスピスに入院した人が、病院から追い出される事例が増えている。それも特定の病院のことではなく、全国的なこととして起きている現象らしい。
その根本は2012年の診療報酬の改定。患者の入院期間によって診療報酬が下がるという仕組みに変わったそう。30日、60日、60日以上という区切りによって、病院が受け取る診療報酬が下がっていく仕組みなった。
理由はホスピスを利用する人が増えているからだろう。ベッドを少しでもあけるため、長期入院者を排除しようとするもの。つまり切羽詰まった人以外は、ホスピスにこないで欲しいということ。
そして2018年になってその方針がさらに進められる。詳しくはリンク先の記事にアップされている。入院料1と入院料2という区分に分けられた。病院で抱えている患者の平均入院日数によってランクづけされる。入院料2になると、グンと診療報酬が減額される。
そうなれば病院によっては経営危機を迎えることになってしまう。だから患者の平均入院日数を下げるため、ホスピスに入院して30日が経過する患者に退院を強制するようになった。要するにホスピスに入りたいなら30日以内に死んでくれ、ということ。
これはボクが知っているホスピスとまったくちがう。本来は余命宣告を受けた人が、最後の日々を少しでも心おだやかに過ごす場所だった。人によっては半年くらい入院している人もいる。医師や看護師さんはそのつもりで接してくれるし、ちょっとした催しものがあったりした。
でも診療報酬規定が改定されてから、殺伐とした雰囲気になっているらしい。30日以上の入院を断る病院が増えているので、患者たちは行き場がなくて困っている。そして医師や看護師の人たちも、そんな状況に絶望してホスピスを離れているとのこと。
まぁなんとも厳しい現実だよね。少しでも多くの人に緩和ケアを受けさせたい気持ちはわかるけれど、30日以内に死んでくれと言われるのはキツい。そんな現状に不満を持つ医療スタッフたちが、地域ホスピスというものをスタートさせているそう。
医師は常駐していないけれど、看護師や介護士が中心となって民間で運営している緩和ケア施設。まだ全国的なことにはなっていないけれど、日本のあちこちに設立されつつあるとのこと。法律の改正が期待できないなら、このような施設が増えることはありがたい。そしておおいに需要はあると思う。
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