自意識は思い込みの産物?
人間が『自分』だと考えている存在は、実はもろくて曖昧な存在かもしれない。ボクたちは自分の人生を生きているつもりで、もしかしたら錯覚の世界をさまよっているのかも。そんなことを感じさせる研究結果が出ている。
友人と「体を入れ替える」実験により、自己の性格が友人に似てくると判明。うつ病治療に応用できるかも
興味深いタイトル。でもこの実験は興味本位で実施されたのではなく、精神疾患の治療に役立てることを意図しているそう。
スウェーデンの研究者が行った研究。友人二人をペアにして、VRのようなゴーグルを装着させる。視覚として入る情報は自分のものではなく、友人が知覚しているもの。そして足に触れるなど、友人に与えた同じ刺激を同時に経験させる。
すると自己矛盾という錯覚が起きてくる。友人と肉体が入れ替わったように感じ、自分の存在が希薄になってくるそう。興味深いのは錯覚実験中に、その人の性格まで友人とそっくりになってしまうこと。
友人だから相手の性格を知っている。自分の肉体感覚が友人と同じになることで、性格まで変化させてしまうらしい。この研究結果を見ていると、『自分』てなんだろうと考えてしまう。自意識なんて、ただの思い込みじゃないだろうか?
「自分』という感覚は、生まれてからの記憶だけでなく、肉体感覚にも依存しているということだろう。だから五感が他人のものにすり替えられると、性格まで変化させてしまう。もしかしたら洗脳は、人間のこうした性質を悪用したものかもしれない。
自己矛盾の度合いが強い人は、実験中の記憶力も落ちるらしい。自分という意識が曖昧になると、現実の認識能力にも影響するということ。人間って、本当に不思議な生き物だよね。
ただこの実験を応用することで、離人症や統合失調症の治療に役立つと考えられている。自分という存在を明確にできない精神疾患を抱えている人は、この錯覚実験における自己矛盾の状態と似ているのかも。だから自己認識を本来の肉体へと調整することで、自己矛盾を解決させるのだろう。
こうなってくると、ますます映画の『マトリックス』の世界がリアルに思えてくる。ボクたちは『自分』という錯覚の世界で生きているように思えてしまうなぁ。だから『本当の自分』を発見することが、人生の目的なのかもしれないね。
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