停滞する理由はゼロリスク信者
これまで新型コロナウイルスの感染を抑えてきた台湾だけれど、国際線パイロットから拡大したと見られる感染者が増加した。そこでワクチン接種がスタートしたけれど、絶対数が不足していた。ようやく日本の援助等でワクチン供給にめどがついて、国民への接種が始まっている。
ワクチン接種に関しては日本より出遅れた感のある台湾だけれど、その後の展開はさすがとしかいいようがない。
またしても登場した台湾のオードリー・タンIT担当大臣。やっぱりこの人は天才だよね。マスク不足のときも国民のIDを活用することで、台湾国内にあるマスクを均等に配布するシステムを構築した。
そして今回のワクチン接種に関しても、さすがIT担当相というシステムを稼働させている。これがなかなかシンプルで使いやすそう。
国民はスマートフォン等を使って、IDカードと健康保険カードのデータを入力する。それで当局から通知を受けると、その後はネットで接種場所や時間を予約できる。日本のように役所から配布される接種券を待つことはない。
さらにネット関連が苦手な情報弱者の人であっても、最初の登録を済ませればコンビニや薬局でワクチン接種の予約ができるそう。とにかく一人でも多くの人が効率よく接種できるよう、使いやすく、かつシンプルな予約システムが構築されている。さすがというしかない。
日本も世界的に見れば、出遅れたとはいえワクチン接種は順調に進められている。日によっては200万接種を超えているときもあった。ただ予約に関してはトラブルが多く、この台湾のように全国規模のシステムはうまく機能しなかった。
そのちがいは明らか。台湾ではIDカードが国民に浸透しているから。それゆえオードリー・タンIT担当相もこうしたシステムを組めるのだと思う。
ボクは今年の春にマイナンバーカードを作ってみた。どのようなものか実感したかったから。作ってみて思ったけれど、思っていたより素晴らしいものだと感じている。ICチップを使った個人の証明書としては、パスポートと肩を並べるレベルだろう。
ただいかんせん、用途が制限され過ぎている。健康保険証との統合は10月に延長されたし、それ以外のシステムとの連携はまだまだ物足りない。このカードを活用すれば、ネット選挙だって絶対に可能。なのに現状は残念なことになっている。
せっかくのマイナンバーカードが停滞している理由は明らか。それはゼロリスク信者が存在するから。
どんなことにもリスクは発生する。だからゼロリスクなんて夢物語でしかない。トータルとしてリスクを超えるメリットがあるかどうかで判断するべき。だけど政府は個人情報を盾にしたゼロリスク信者に配慮して、思うように活用範囲を広げることができない。
新型コロナワクチン接種に関しても同じ。副反応等のリスクがあるのはワクチンとして当然。だからゼロリスクなんてありえない。だけど全体的に考えた場合、現状においてコロナ禍を収束させるのに、ワクチンによる集団免疫に勝るものはない。
なのにゼロリスク信者は、ありえないゼロリスクを主張して反対の声をあげる。なかにはデマまで拡散する人がいる。これは新興宗教とたいして変わらない構造を持っている。
ゼロリスク信者がいるということは、ゼロリスク教があって、ゼロリスク教祖が存在するということ。ほんのひと握りの人がリスクを強調することでゼロリスクを訴え、無意味なゼロリスクを信仰する人が拡散に手を貸している。こんな状況では、どんなことも先に進めることができない。
合理的な発想が定着している欧米人に比べて、感情に流されやすい日本人はゼロリスク信者が育ちやすい土壌なのかもしれないなぁ。
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